看多機ってどんなサービス?特徴や仕事内容をわかりやすく解説
医療的なケアが必要であっても、住み慣れた自宅で生活したいと考える高齢者は多いでしょう。
「看多機」は、看護と介護を複合的に提供できる事業所として注目されています。
この記事では、看多機とはどのようなサービスなのかや、看多機での仕事について解説していきます。
看多機とは?
看多機とは看護小規模多機能型居宅介護の通称で、医療依存度の高い要介護者の在宅での生活を支援するために2012年に新設されました。
設立当初は「複合型サービス」という名称でしたが、2015年に現在の名称に変更となりました。
まずは、看多機の特徴やサービス内容、利用条件、利用料金について見ていきましょう。
特徴
看多機は、小規模多機能型居宅介護の「訪問」「通い」「泊まり」の3つの介護サービスに加えて、訪問看護サービスも提供します。
看多機の特徴は、次の通りです。
- 自由度の高いサービス内容
- 医療処置にも対応可能
- 同じ事業所内のスタッフが対応
- 定員が少人数
看多機は利用者のニーズに応じてサービスを組み合わせることができ、その自由度の高さは大きな特徴と言えるでしょう。
看護職員が配置されているため、主治医の指示のもと医療処置を行ったり、自宅での看取りも可能です。
また、一体型のサービスなので、サービスを変えるごとに事業所やスタッフが変わるといったこともありません。
登録定員は29名と少人数で、一人一人と向き合った看護・介護を提供することができます。
サービス内容
次に、看多機の主なサービス内容について見ていきましょう。
- 退院直後の在宅生活へのスムーズな移行支援
- 看取り期、病状不安定期の在宅生活の継続支援
- 家族に対するレスパイトケア、相談対応による不安の軽減 など
介護に加えて、医療的なサポートも24時間365日いつでも受けることができます。
参考:厚生労働省「看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)について」
利用条件
看多機を利用することができるのは、下記の条件に該当する方です。
- 要介護1~5の認定を受けている
- 事業所が所在している市町村に住んでいる
利用する場合には、その事業所に所属しているケアマネジャー(介護支援専門員)に変更する必要があります。
利用料金
看多機の月々の利用料金は、要介護度に応じた定額制です。
利用回数に上限はなく、各サービスの1日あたりの定員以内であれば何回でも利用することができます。
看多機の仕事内容は?
看多機で働く場合には、どのような業務を行うのでしょうか。
「訪問」「通い」「泊まり」に分けて、それぞれの主な仕事内容を見ていきましょう。
通所・短期入所 | ・健康状態のチェック ・食事、排泄、入浴などの介助 ・レクリエーション ・機能訓練 ・利用者の送迎 など |
訪問介護 | ・健康状態のチェック ・食事、排泄、入浴などの介助 ・掃除、洗濯、調理、ゴミ出しなどの援助 ・服薬介助 ・通院や外出の付き添い など |
訪問看護 | ・バイタルサイン測定 ・点滴や注射などの医療行為 ・服薬管理、指導 ・褥瘡などの処置 ・看取りケア など |
介護と看護の一体型サービスであるため、介護職員と看護職員の連携が非常に重要となります。
看多機の人員基準
看多機では、下記の通り人員基準が定められています。
【日中】
通い:常勤換算で3対1以上(1以上は看護職員)
訪問:常勤換算で2以上(1以上は看護職員)
【夜間】
夜勤:時間帯を通じて1以上
宿直:時間帯を通じて1以上
※泊まり利用がない日は、宿直・夜勤職員の配置不要
※夜勤・宿直の看護配置基準は設けず、必要に応じた対応体制で可
【看護職員】
常勤換算で2.5名以上(1以上は常勤の看護師または保健師)
※訪問看護ステーションと一体的に運営している場合は、看護職員の兼務可
【介護支援専門員】
配置が必要(兼務、非常勤可)
引用:日本看護協会「看多機(看護小規模多機能型居宅介護)事業所開設のご案内」
概ね小規模多機能型居宅介護の基準に沿っていますが、さらに看護職員を手厚く配置していることが特徴です。
看多機で働くメリット
看多機の特徴や仕事内容について説明しましたが、実際に働く場合にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、看多機で働くメリットをご紹介します。
介護・看護の幅広い知識を習得できる
「訪問看護」「訪問介護」「通所介護」「短期入所」のサービスを同じ事業所で提供するため、幅広い知識やスキルを身につけられます。
多様な介護サービスに触れることで、キャリアアップにもつながるでしょう。
利用者一人一人とじっくり向き合える
看多機は少人数の定員制なので、利用者一人一人に寄り添ったサービスを提供することができます。
利用者とじっくり向き合いたいという方にはおすすめの環境です。
利用者に合わせたサービスが提供できる
看多機は月額制で利用回数の上限がないことからも、サービス内容の自由度は高いと言えます。
利用者の要望を聞きながら、個別性のあるケアを提供できる点は大きな魅力でしょう。
看多機で働くデメリット
次に、デメリットについて見ていきましょう。
夜勤や宿直がある
看多機は24時間365日体制でサービスを提供しているため、夜勤や宿直があります。
そのため、日勤だけで働きたいと考えている場合にはデメリットでしょう。
業務範囲が広い
介護サービスは一般的に、訪問は訪問、通所は通所と分かれています。
しかし、看多機は「訪問」「通い」「泊まり」の一体型サービスであるため、幅広い知識や経験が求められます。
慣れるまでは、業務量の多さに戸惑ってしまう方もいるかもしれません。
症例数が少ない
看多機は少人数の定員制であることから、様々な症例の利用者と接する機会は少ないです。
そのため、多くの症例を学びたいと思っている場合には不向きでしょう。
在宅での生活を支援するやりがいのある仕事
看多機は、地域包括ケアの大きな役割を担うサービスとして期待されています。
高齢者が住み慣れた場所で生活できるように支える、とてもやりがいのある仕事です。
業務の範囲が広いので最初は大変かもしれませんが、幅広いスキルを身につけたいという方にはおすすめの職場と言えるでしょう。
今後のキャリアに悩んでいる方は、ぜひ看多機も視野に入れてみてはいかがでしょうか。