福祉用具でレンタルできないものとは?入手方法も解説!
「福祉用具でレンタルできないものって何?」
「レンタルできないものは、入手できないの?」
このようにお悩みの方もおられるでしょう。
ご家族や親類で身のまわりに介護が必要になった時、役に立つのが福祉用具です。
介護用ベッドがあれば寝起きが楽になりますし、車椅子があれば安全に移動できるかもしれません。お風呂に手すりを取り付けられれば、自宅での入浴も安全にできるでしょう。
ところが、これらの福祉用具は条件によってレンタルできない可能性があります。
そこで今回の記事では、福祉用具でレンタルできるものとできないものについて解説します。どうしても使いたい場合の入手方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
福祉用具のレンタルとは
福祉用具のレンタルとは、介護保険の「福祉用具貸与」というサービスを指します。
要介護者・要支援者が、自宅でできるかぎり自立した生活が送れるように福祉用具をレンタルできるサービスです。
福祉用具をレンタルしたい場合、担当のケアマネジャーに利用したい旨を伝え、自宅での介護サービス計画(ケアプラン)に、福祉用具が必要な理由を記載してもらう必要があります。
ケアプラン作成後に「福祉用具貸与・販売事業者」を選び、必要な福祉用具を選定してもらい、契約するという手順です。
福祉用具を使うと以下のようなメリットがあります。
- 基本的な動作や日常生活動作において、自立できる可能性が高まる
- 介助者の負担軽減につながる
- 安全な環境で生活できる
そのため、使用する方の身体機能や生活状況を踏まえ、必要な福祉用具をレンタルすることが大切です。
福祉用具でレンタルできるものとできないもの
では、福祉用具の「レンタルできるもの」と「できないもの」の違いとは何でしょうか?
それぞれ見ていきましょう。
レンタルできるもの
レンタルできる福祉用具の一覧は以下のとおりです。
- 車いす
- 車いす付属品
- 特殊寝台
- 特殊寝台付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 手すり
- スロープ
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 認知症老人徘徊探知機
- 移動用リフト(吊り具以外)
- 自動排泄処理装置
これら13品目は福祉用具貸与の対象品目であり、保険適用でレンタルが可能です。
レンタルできないもの
福祉用具は、主に以下の条件によってレンタルの可否が決まります。
- 貸与になじまないもの
- 介護度によって制約を受ける場合
- 利用している介護保険サービスによって制約を受ける場合
- 福祉用具ではない介護用品
などに分類されています。
貸与になじまないもの
まず、トイレやお風呂で使う肌に直接触れるものはレンタル対象外となっています。
他人が使ったものの再利用は、一般的に心理的抵抗感を持つからです。
また、継続的な利用によって、もとの形態や品質が変化することで再利用に適さないものも同様にレンタルできません。
これらを踏まえると、以下の5品目が貸与になじまないものとなります。
- 腰掛便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトのつり具の部品
介護度によって制約を受ける場合
レンタル対象品の中でも、介護度が軽い方(軽度者)では保険適応でレンタルできないものがあります。軽度者とは、要支援1,2と要介護1の方です。
以下の品目は軽度者ではレンタルができません。
- 車いす・車いす付属品
- 特殊寝台・特殊寝台付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 徘徊感知機器
- 移動用リフト
- 自動排泄処理装置(尿の吸引部分)
- 自動排泄処理装置(便も吸引できるものは要介護4から)
利用している介護保険サービスによって制約を受ける場合
利用している介護保険サービスによっては、種類を問わず福祉用具をレンタルできない場合があります。
- 特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
上記の指定を受けたサービスを提供している施設に入所している方は、介護保険適用で福祉用具をレンタルできません。
施設には最低限の福祉用具が整備されていることや、そもそも福祉用具レンタルの対象となる方は、自宅における生活の自立を目指しているからです。
福祉用具ではない介護用品
オムツやウェットティッシュ、介護用の食器やスプーンなどについても触れておきます。
これらは介護に使う物ではありますが、福祉用具の位置づけではありません。
そのため、レンタルできないものとされています。
福祉用具をレンタルする際に知っておきたいこと
福祉用具のレンタルは、何でも好きなだけできるわけではありません。区分支給限度基準額という介護度に応じた一月あたりにつかえる金額の範囲内でしかレンタルできないからです。
また、レンタルにかかる費用は事業者によって料金設定が異なることにも留意しましょう。それぞれ以下で解説していきます。
区分支給限度基準額内でレンタルする
区分支給限度基準額とは、一月あたりに介護保険から給付される金額のことです。
金額は介護度により異なりますので、以下を参考にしてください。
要介護度 | 区分支給限度基準額(単位) |
要支援1 | 5,032 |
要支援2 | 10,531 |
要介護1 | 16,765 |
要介護2 | 19,705 |
要介護3 | 27,048 |
要介護4 | 30,938 |
要介護5 | 36,217 |
たとえば要介護2では、1月あたり19,705単位が給付されます。
他のサービスも併用して区分支給限度基準額を超えてしまうと、その分は保険適用外となり自費で支払うことになります。
なお、基本的にはケアマネジャーが区分支給限度基準額を管理してくれているので、過度に心配する必要はありませんが、念のため覚えておくとよいでしょう。
レンタルにかかる費用は事業者で異なる
介護保険のサービスは種類によってサービス単価が決まっていますが、福祉用具のレンタル料金は、厚生労働省の福祉用具の貸与価格の上限設定の考え方に準拠して福祉用具レンタル事業者が設定できる仕組みになっています。
参考までに福祉用具のレンタル料金の相場は以下を参考にしてください。
品目 | レンタル料金の目安(1割負担の場合) |
車いす | 500~4,000円 |
車いす付属品 | 車いす用クッション:100~300円 |
特殊寝台 | 750~1,500円 |
特殊寝台付属品 | マットレス:200~400円 ベッド柵:50~80円 テーブル:50~350円 |
床ずれ防止用具 | 200~2,000円 |
体位変換器 | 150~800円 |
手すり | 100~700円 |
スロープ | 400~1,200円 |
歩行器 | 200~400円 |
歩行補助杖 | 100~200円 |
認知症老人徘徊探知機 | 500~900円 |
移動用リフト(吊り具以外) | 1,000~4,000円 |
自動排泄処理装置 | 1,000~2,000円 |
レンタルできないものの入手方法
レンタルできないものでも生活上必要になる場合は少なくありません。
そこで、レンタルできないものを入手する方法について解説します。
介護保険で購入する
貸与になじまないものは購入する他ありません。
「特定福祉用具販売」という介護保険給付を受けて、1~3割の自己負担で購入が可能です。
排泄や入浴関連の福祉用具を使用したい場合は、保険適用にて購入することをおすすめします。
自費でレンタルもしくは購入する
介護度の関係でレンタルできないものは、自費であればレンタル可能です。
ただし、介護保険が使えないため全額が自費になることに注意しましょう。
購入するという方法もありますが、レンタルではないためメンテナンスしてもらえないデメリットもあります。
例外的に介護保険でレンタルする
「軽度者への例外給付制度」を利用すれば、所定の介護度に満たなくともレンタルできることがあります。
以下に該当する場合が対象です。
- 要介護認定の基本調査において、必要性があると判断された
- 医師の所見やケアマネジメントの判断等を市町村が確認し、要否を判断した
はじめに要介護認定の基本調査で必要性の有無を判断し、認められればレンタル可能となります。
一方、調査で認められなければ医師の所見やケアマネジメントの判断を市町村に認めてもらう手続きをとります。
基本的にいずれも利用者側ですることはほとんどなく、必要な理由を明確に認定調査員やケアマネジャーに伝えられればよいでしょう。
レンタルできないものでも入手は可能
本記事では福祉用具でレンタルできないものについて解説しました。
「貸与になじまないもの」「要介護度による制約」「施設入所の場合」「介護関連でも福祉用具ではないもの」などに分類されている場合、レンタルできないものと覚えておくとよいでしょう。
しかし、レンタルできないものでも「保険を使わない」「購入する」「例外制度を利用する」などの方法で入手は可能です。
もしレンタルしたい福祉用具があれば、担当のケアマネジャーに相談し、いずれかの方法で入手できないか聞いておくとよいでしょう。