福祉用具専門相談員になるには?業務内容や働ける場所も解説

日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)

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福祉用具専門相談員になるにはどうすればいいの?

業務内容や働ける場所も知りたい

このような疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。

「福祉用具専門相談員」とは、介護保険の「福祉用具貸与・販売事業所」で福祉用具のレンタルや販売に関わる仕事をする者をいいます。

今回は、福祉用具専門相談員になるにはどのような手順で資格を取得すればよいか解説します。

この記事をお読みいただければ福祉用具専門相談員になる方法がわかり、資格取得後の業務内容や活躍できる場所の理解も深まるでしょう。

ぜひ最後までお読みいただければ幸いです。

目次

福祉用具専門相談員とは?

福祉用具専門相談員とは、福祉用具の選び方や使い方に関してアドバイスする資格をもった者のことをいいます。

高齢化率が高まる我が国においては、高齢者の自立支援と重度化防止の推進が重要といわれています。高齢者が住み慣れた環境でより安全にいきいきとした生活を送るためには、環境を整えたり生活を便利にする用具を適切に扱うことが重要です。

福祉用具専門相談員は、こうした高齢者のニーズを満たす重要な役割をもっているといえるでしょう。

福祉用具専門相談員の業務内容

福祉用具専門相談員の業務内容には以下のものがあります。

業務の種類内容
福祉用具の選定・相談利用者からの相談に対して心身機能や生活環境の状況などを考慮し、個々に合った福祉用具を選定する
アセスメント・計画作成利用者からの相談内容とケアマネジャーのケアプランにもとづき、福祉用具サービス計画を立案する。
計画には「実現したい生活のためにどのような福祉用具を利用するか」が記載されている。
計画内容に利用者が同意すれば、福祉用具のレンタル開始となる。
適合・取扱説明利用者の心身機能や使用環境に応じて、福祉用具を調整する。
利用にあたっての注意点(安全性や使い方など)について説明する。
モニタリング福祉用具の使用状況や、用具の機能・安全性・衛生面などを確認する。
必要に応じて交換・修理・撤去などする。
サービス事業者との連携サービス担当者会議などを通し、他サービス事業者との情報共有・連携を図る。
必要に応じ、ケアマネジャーへケアプランの変更等を依頼する。

福祉用具専門相談員になるには

福祉用具専門相談員になるには、福祉用具専門相談員の資格を取得する必要があります。

資格取得には、以下の手順が必要です。

  1. 福祉用具専門相談員指定講習の申し込み
  2. 指定講習の受講
  3. 修了評価試験の合格

なお以下に示す国家資格取得者は、福祉用具に関する知識を有していると認められています。そのため講習を受けなくとも、福祉用具専門相談員としての業務に携われます。

  1. 保健師
  2. 看護師・准看護師
  3. 理学療法士・作業療法士
  4. 社会福祉士
  5. 介護福祉士
  6. 義肢装具士

以下では、上記資格を取得していない方が福祉用具専門相談員になる場合の手順を解説します。

1.指定講習の申し込み

福祉用具専門相談員指定講習は、各都道府県知事が指定した研修事業者(スクール)により実施されます。

研修日時や会場については、各都道府県のホームページから確認が可能です。ご自身の都合にあう日時と場所から選択してください。

オンライン講習もあるため、移動が大変な方でもインターネット環境があれば受講しやすくなっています。

受講にかかる費用は研修事業者によって異なり4~6万円程度、受講期間は6~8日間です。

なお、受講資格は特に定められていません。

どなたでも受講可能であるため、福祉用具に興味があり、医療・介護・福祉の分野で活躍していきたいと思っている方はぜひ申し込んでみてはいかがでしょうか。

2.指定講習の受講

講習のカリキュラムは以下を参照してください。6科目からなる全50時間となっています。

科目内容時間数(時間)
1.福祉用具と福祉用具専門相談員の役割福祉用具の役割1
福祉用具専門相談員の役割と職業倫理1
2.介護保険制度等に関する基礎知識介護保険制度等の考え方と仕組み2
介護サービスにおける視点2
3.高齢者と介護・医療に関する基礎知識からだとこころの理解6
リハビリテーション2
高齢者の日常生活の理解2
介護技術4
住環境と住宅改修2
4.個別の福祉用具に関する知識・技術福祉用具の特徴8
福祉用具の活用8
5.福祉用具に係るサービスの仕組みと利用の支援に関する知識福祉用具の供給の仕組み2
福祉用具貸与計画等の意義5
6.福祉用具の利用の支援に関する総合演習福祉用具による支援の手順と福祉用具貸与計画等の作成5
合計50

福祉用具専門相談員として必要な知識を網羅的に学べる講習となっています。

福祉用具を必要とする方は身体機能や居住環境がそれぞれ異なっており、個々に応じたアセスメントと計画作成が重要です。

講習会では福祉用具の基礎的な知識だけでなく、介護保険制度や高齢者に関する知識も学んでいきます

3.修了評価試験に合格する

全カリキュラム受講後、修了評価試験に合格すれば資格取得となります。

試験は1時間の筆記で、講習のカリキュラムを理解できていればさほど難しくないといわれています。

万が一合格基準に達していなくても、補講や再試験を実施してもらえるスクールが多いので、過度な心配はいりません。

とはいえ資格取得後は、介護保険制度の改定や福祉用具の新製品など、常に最新の情報を把握し学んでいく姿が求められます。

講習会で学ぶことはしっかりと理解し、必ず一度で合格するくらいの意気込みの方が、今後のモチベーションも維持しやすいでしょう。

福祉用具専門相談員が働ける場所

資格取得後に働ける場所について紹介します。

多くの方は「福祉用具貸与・販売事業所」で福祉用具のレンタルと販売に関する業務に従事しますが、以下のように活躍の場は増えています

  1. 住宅改修業者:工務店・リフォーム業者・住宅メーカーなどにおけるバリアフリーに関する提案
  2. 小売店:スーパー・ホームセンター・ドラッグストアなどにおける介護・福祉系の商品販売
  3. 福祉用具メーカー:研究開発・製作・利用者のニーズ調査など
  4. 訪問介護事業所:利用者からの相談対応など

福祉用具専門相談員のやりがい

福祉用具専門相談員のやりがいを紹介します。

自立支援に携われる

福祉用具の導入や住宅改修により、利用者が今までできなかったことができるようになります。福祉用具を生活場面にうまく適合させ、利用者の困りごとが大きく改善されたときの達成感は大きいのではないでしょうか。

リハビリや介護で状態が改善するのにはある程度の時間がかかりますが、環境調整しだいでは劇的に生活を改善させられます。これは、福祉用具専門相談員の強みであり、大きなやりがいともいえるでしょう。

営業職として成長できる

福祉用具専門相談員の仕事には、他事業所向けの講習会や企業の展示会における福祉用具のデモなど、対外的な活動もあります。

事業所の職員や一般客に向けた営業活動を地道に続けていけば、地域の顔にもなれますし、ケアマネジャーからの依頼も増えるでしょう。

営業活動が実を結んで自事業所の発展に貢献できれば、営業職としての成長を感じ、やりがいを大きく感じられます。

最先端の機器に触れられる

福祉用具は日々新しい製品が生まれています。人々の生活スタイルや抱えている課題が多様化しているため、福祉用具もそういった課題に対応できなくてはなりません。

最先端の機器や用具は機能が多彩で覚えることも多くあり、大変だと思うこともあるでしょう。

しかし困難を抱える方々にどのように役立ち、どんな機器が最適であるかを常に考え、学び続けることに大きなやりがいを感じている方もいます。

福祉用具専門相談員の将来性

今後の社会において、福祉用具専門相談員の将来性はどのように考えられるでしょうか?以下で解説します。

需要は高まると考えられる

高齢者が住み慣れた地域で暮らしていくためには、安全で動きやすく、いきいきとした気持ちになれる環境をつくることが大切です。

冒頭でも述べた通り、我が国は高齢化率が高まると予測されています。

内閣府の平成28年版高齢社会白書によると、2060年には高齢化率が40%近くなると推計されています

国の重要な施策である「自立支援と重度化防止の推進」を考えると、住みやすい環境を整え、最適化する役割をもった福祉用具専門相談員の活躍はより求められるといえるでしょう。

年収がすぐに上がるとは考えにくい

福祉用具専門相談員の求人を見ると年収で320万円程度の職場が多く、介護や福祉関係の職種と比較すると少ない傾向にあります。

これは、福祉用具専門相談員が介護職員処遇改善加算の対象になっていないことが理由です。社会保障審議会介護給付費分科会において議論されているものの、まだ対象にはなっていないため、今後の動向を注視していく必要があるでしょう。

福祉用具専門相談員の資格のみですぐに年収を大きく上げていくことはおそらく難しいと思われます。

福祉住環境コーディネーターなどの資格を取得して専門性を高めたり、福祉用具メーカーなどの一般企業で研究開発に携われるようになると年収アップが期待できるでしょう。

福祉用具専門相談員は今後の日本社会に求められる重要な人材

福祉用具専門相談員になるには、指定の講習会受講と、試験への合格が必要です。受講資格は特になく誰でも取得できるため、福祉用具の分野で活躍したい方はぜひ受講してみてはいかがでしょう。

福祉用具専門相談員は、国の施策である自立支援や重度化防止の推進に大きく寄与できる存在です。今後の高齢化率等を踏まえると需要が高く、取得をおすすめできる資格といえるでしょう。

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この記事を書いた人

すずや すずや 理学療法士/介護支援専門員/ライター

2008年 理学療法士免許取得。
老健で入所・通所・訪問リハビリに従事。
保有資格は介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級。
介護保険、地域包括ケアなどに興味関心あり。
介護未来マガジンでは、制度概要や資格に関する内容をわかりやすく執筆することを心がけている。

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