放課後等デイサービスの離職率と下げる対策を解説

日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)

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「放課後等デイサービスの職員が辞めて困っている」
「職員が辞めない職場の作り方を知りたい」

このようなお悩みを持っている放課後等デイサービスの管理者も多いのではないでしょうか。今回は、放課後等デイサービスの離職率を下げる方法について解説します。この記事の内容を実践することで、離職率を下げるだけでなく職員のモチベーションを向上させる効果も期待できます。ぜひ最後までお読みください。

目次

放課後等デイサービスの離職率の現状

厚生労働省「令和2年度雇用動向調査」の資料によると、放課後等デイサービスの職員も含まれる医療・福祉業界の離職率は14.2%という結果でした。

産業別離職率
宿泊業・飲食サービス業26.9%
医療・福祉14.2%

最も離職率の高い業種は宿泊業・飲食サービス業で26.9%です。医療・福祉業界の人員不足が問題になっていますが、産業全体から見た場合、医療・福祉業界の離職率は特別高い数値ではないことがわかります。

出典)厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果」

放課後等デイサービスの職員が離職する8つの理由

放課後等デイサービスの職員が離職する理由は大きく8つに分類されます。それぞれ離職につながる理由を解説します。

賃金が安い

放課後等デイサービスは、子どもの保護者の勤務時間に合わせて営業時間が設定されているため、非常勤のスタッフが多い傾向にあります。また、未経験者や資格を持たないスタッフも多いため、賃金水準が低い事業所もあるでしょう。

低賃金により、スタッフは生活に支障が出ることがあるため、他の業種や施設に転職する可能性が高まります。給与体系が不明確、昇給やボーナス制度が存在しない、福利厚生が不十分であるといった問題も考えられます。

労働時間が長くなる 

非常勤スタッフが多いと、常勤スタッフが行う雑務が増える場合もあります。雑務を処理するために定時以降も残業することが多くなると、プライベートな時間や家族との時間を取れなくなる可能性もあるでしょう。

長時間労働によって肉体的疲労や精神的ストレスがたまり、職員の健康に悪影響を与える可能性もあります。長時間労働が続く場合、職員がストレスを抱え退職する可能性が高くなります。

労働環境が悪い

 職場環境が悪い場合や、人間関係のストレスが原因で離職することがあります。職員が安心して働ける環境でなければ、長期的に働くことは難しいでしょう。

職場の人間関係の悪さ、上司とのコミュニケーション不足、ストレスや過労、職務内容の過剰な負担、施設内の設備や機器の不備、清潔感のない環境になっていないか注意しましょう。

業務内容に不満がある

 業務内容に対する不満や、キャリアアップの見込みがないと感じる場合に離職することがあります。

放課後等デイサービスでは、児童たちと過ごす時間を取りつつ、環境整備や清掃などの雑用もこなす必要があります。雑務が多くなり、児童とのコミュニケーションや教育支援に割く時間が減ると、スタッフのモチベーションが低下して、離職につながる可能性もあるでしょう。

肉体的・精神的負担が大きい

 子どもたちの相手や保護者対応など、肉体的・精神的な負担が大きいことで離職するスタッフも多いでしょう。

放課後等デイサービスでは、子どもたちの安全管理や個別のケア、プログラムの企画や実施、保護者対応など、様々な業務を担当しています。そのため、職員は常に多忙であり、ストレスや疲労が蓄積されやすい環境にあります。

長期間勤務していると過労やストレスから、肉体的・精神的な問題を抱える可能性もあるため注意しましょう。

ワークライフバランスが乱れる

 休日や残業が多く、プライベートの時間が確保できない場合に離職することがあります。

放課後等デイサービスは、放課後や長期休暇中の児童の保護者が仕事をしている間に、児童の保護や適切な支援を提供するサービスです。そのため、職員の勤務時間は保護者の仕事時間に合わせて設定され、祝日や週末に勤務する機会が多くなります。

休日を確保しにくくなることで、職員のプライベートな時間が制限され、ワークライフバランスが悪化することが考えられます。プライベートな時間を確保するために離職するスタッフも多いでしょう。

非正規雇用が多い

 非正規雇用やパートタイムなどの雇用形態が多いため、正規雇用として採用してくれる職場へ転職するスタッフもいます。

放課後等デイサービスでは、無資格のスタッフを非正規雇用で採用する場合も多々あります。非正規雇用の期間が長くなると、将来が心配になるスタッフも多いでしょう。将来のことを考えて転職するするスタッフもいます。

教育・研修の不足:

 職員のスキルアップや専門性を高める研修が不足している場合、自己成長が見込めないと感じて離職することがあります。

放課後等デイサービスは、子どもたちが健やかに育つためのサポートを提供する重要な施設です。そのため、職員には充実した教育・研修が必要不可欠です。しかし、人手不足などの問題から、職員の教育・研修に割く時間や費用が十分に確保されないこともあります。

キャリアアップを考えている職員は、よりキャリアアップが見込める施設を求めて離職する可能性が高くなるでしょう。

放課後等デイサービスの離職率を下げる方法

放課後等デイサービスの離職率を下げる方法として、賃金の見直し、労働環境の見直し、教育・研修の実施、フィードバック・評価制度の導入、という4つの方法が挙げられます。それぞれ解説していきます。

賃金の見直し

スタッフの給与を適正に設定し、働く意欲を高めることが大切です。賃金の見直しや昇給制度の導入を検討しましょう。
周囲の相場以上に賃金を設定したり、経験や能力、業績に応じた昇給制度の導入したり、などの方法があります。また、社会保障制度の充実や福利厚生の充実なども低賃金を補う意味で重要です。

しかし、賃金の引き上げには財政面での課題もあり、助成金の活用や業務の見直しによる効率化など、賃金改善に向けた総合的な対策が必要です。

賃金改善は職員のモチベーション向上にもつながり、職員の定着や業務の品質向上にもつながるため、放課後等デイサービスのサービス品質向上にも欠かせない要素となります。

労働環境の見直し

長時間労働を減らし、労働環境を改善することでスタッフの働きやすい職場に改善しましょう。
放課後等デイサービスにおける職員の離職率を改善するためには、労働環境の改善が有効な手段です。例えば、業務負荷の軽減や休憩時間の設定、残業時間の削減などが挙げられるでしょう。

また、職場内でのコミュニケーションの活性化や、職員同士の協力体制の構築も重要です。職場内でコミュニケーションアプリを導入する、スタッフが楽しめるイベントを企画する、といった方法も良いでしょう。

労働環境を改善することで、職員のモチベーション向上、ストレス軽減、職場への定着率を向上させる効果が期待できます。

ワークライフバランスの向上

休日や残業を確保しやすくして、スタッフのプライベートな時間を守りましょう。

職員の労働時間や休暇の取りやすさなど、働き方を改善することで、ストレスや過労を軽減し、離職率を下げられるでしょう。

具体的には、勤務時間の見直しや、適切な休憩時間の確保、柔軟なシフト制度の導入、有給休暇の積極的な取得などの方法が挙げられます。

職員に合わせたワークライフバランスを取れる職場にすることで、職員の働きやすさが向上し、離職率の低下につながるでしょう。

教育・研修の充実

スタッフのスキルアップや専門性を高める研修を提供し、自己成長をサポートしましょう。

放課後等デイサービスの職員がスキルアップできる環境を整えることは、離職率を改善する上で非常に重要です。

例えば、専門的な研修やセミナーを実施すれば、職員がより専門的なスキルを習得し、モチベーションが高くなる効果が期待できます。また、職員同士で情報交換ができるような場を設けることも、スキルアップの支援になります。そのため、社内のコミュニケーションを促進する仕組みを整備することが重要です。

職員が自己成長を実感できるようなキャリアアップ制度を設けることも、離職率改善のために効果的です。

フィードバック・評価制度の導入

スタッフごとに目標設定や評価基準を明確にし、定期的に適切なフィードバックを提供しましょう。

放課後等デイサービスの職員が、業務の成果や努力が適切に評価されていないことが、離職率を引き上げる原因の1つに挙げられます。フィードバック・評価制度を明確にすることをおすすめします。

例えば、定期的な目標設定や評価面談、業務改善に向けたフィードバックなどを行うとよいでしょう。定期的にフィードバックを受けることにより、仕事へのモチベーションが高まり、離職を防ぐ効果が期待できます。

放課後等デイサービスで離職対策をする際の注意点

放課後等デイサービスで離職対策をする上で注意すべき点として、まずはスタッフの意見を聞くことが重要です。

スタッフが働きやすい環境を整えるためにも、スタッフからの意見を聞かなければ経営者の自己満足で終わってしまう可能性もあります。

スタッフが今なにに悩んでいて、職場に何を求めているのか、定期的に確認する機会を持ちましょう。

スタッフからに意見をもとに、職場環境の改善や賃金の見直しを行うことで、スタッフは会社を信頼するようになります。スタッフとの信頼関係を構築するように心がけるとよいでしょう。

放課後等デイサービスで離職率を下げるために重要なこと

放課後等デイサービスでは、労働環境や職場の人間関係の悪化で離職する人が多いようです。放課後等デイサービスの離職率を下げるには、職員の声を聞くことが重要です。職員の声を聞いて、働きやすい職場環境を作りましょう。職員のモチベーションがそのまま施設のサービスの品質に繋がります。職員が高いモチベーションを維持できるように工夫しましょう。

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この記事を書いた人

野田晃司のアバター 野田晃司 作業療法士/ライター

2010年に作業療法士資格を取得し、2年間の病院勤務後、通所介護施設を運営する企業に入社。2つのデイサービス立ち上げを経験後、施設管理者として8年勤務。その間、高齢者デイサービス、放課後等デイサービスなどを展開し、約50名の従業員が勤務する会社の役員としてマネジメントにも関わる。
現在は、フリーのWebライターとして活動中。長年の経験と知識を活かし、多数のメディアで記事を執筆する。

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