
日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)
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「福祉用具貸与のメリットって何?」
「福祉用具貸与と購入ではどちらがおすすめ?」
福祉用具が必要になった際、このような疑問を持つことはないでしょうか。
福祉用具貸与のサービスでは福祉用具をレンタルできますが、購入との違いがわからず、どのようなメリットがあるのか利用者に説明できないという方もいるでしょう。
そこで今回は、福祉用具貸与のメリットとデメリットについて解説します。
この記事を読めば、福祉用具の導入に心理的抵抗感をもつ利用者へ、福祉用具貸与の特徴を説明できスムーズな導入へ結び付けられるでしょう。

福祉用具貸与とは、福祉用具をレンタルできるサービスのことです。介護保険の認定を受けている要支援1~要介護5の方が利用できます。
福祉用具の利用により見込まれる効果は以下のとおりです。
このように、必要な福祉用具を導入できれば自立した日常生活が獲得できます。そのため在宅の利用者に関わる医療・介護スタッフは、福祉用具貸与におけるメリットやデメリットを適切に説明できる知識が求められます。

福祉用具貸与でレンタルできるのは、以下の13品目です。
一方で入浴や排泄などに使われる、直接肌に触れることで貸与になじまない福祉用具はレンタルできません。これらを使用したい場合は、購入が必要です。レンタルの対象にならない物は以下の5品目です。

前述した福祉用具貸与の13品目を使用したい場合、レンタル以外に店舗やインターネットからの購入も可能です。
ではレンタルと購入、どちらの方法で導入するとよいのでしょうか。結論からいうと、レンタルの方がおすすめといわれていることが多いようです。その理由を以下のメリットから解説していきます。
福祉用具は購入するよりもレンタルした方が安く利用できます。
購入では種類や機能にもよりますが、歩行器で2~10万円程度、車椅子で2~50万円程度の費用がかかります。
一方、レンタルなら介護保険からの給付を受けて1~3割の自己負担で利用できるため、購入よりも費用を抑えられるのです。
レンタルの場合、利用している福祉用具は定期的にメンテナンスしてもらえます。不具合があれば修理・交換の対象となり、基本的に無償で対応可能です。
一方、購入したものはメンテナンスの対象にはなりません。不具合があっても自分で修理するか、業者に有料で対応してもらう必要があります。
不具合を放置したり、自己判断で使い続けたりしていれば、大きな事故につながってしまうこともあるでしょう。
けがや事故の可能性をできるだけ減らし、安全に使うためにはレンタルがおすすめです。
福祉用具貸与のサービスでは、お試しでのレンタルが可能です。
はじめて福祉用具を利用する方は、何が自分に合っているか使ってみないとわからないことが多いでしょう。
実際に生活場面に導入してみると「思ったよりも使いにくい」「自宅の環境に合わない」といった不具合は少なくありません。
レンタルなら別の福祉用具に交換してもらえるため、納得いくまで調整が可能です。
しかし、購入したものは不具合があっても交換は難しく、不便さを感じてしまうことがあります。
利用者は日々、状態が変化します。杖を使っていた方が、いずれ歩行器を必要とすることは多々あります。
レンタルなら使っていた杖を返却し、代わりに歩行器をレンタルするといったように、必要な福祉用具を状態に応じて使い分けられるのです。
一方、購入の場合は不要になったものの取り扱いに困ったり、買い替えが必要になったりします。買い替えによる金銭的負担も大きいため、長期的に使う見込みがない限りはレンタルしておいた方がよいでしょう。

福祉用具貸与のデメリットについて以下で解説します。
福祉用具貸与のサービスでは、要支援や要介護1の方、すなわち軽度者では介護保険給付の対象外になる品目があります。
以下の品目は原則として要介護2以上でなければ、1~3割の負担でレンタルできません。
ただし以下のいずれかに該当すれば、軽度者でも例外的にレンタル可能な場合があります。
参考)厚生労働省「介護保険制度における福祉用具貸与・販売種目のあり方検討会」
レンタル品は不要になり返却されたものもあるため、必ずしも新品を使えるわけではありません。
他の方が使用し、傷や汚れがついているものもあります。
神経質な方にとっては、一度誰かの手に渡ったことのあるものに抵抗があるかもしれません。
新品を使いたいのであれば、購入する方がよいでしょう。
レンタルしている福祉用具はご自身の所有物ではないため、取り扱いに注意が必要です。
大きな汚れや破損が生じた場合は、罰金が科されることもあります。ふつうに使っていての破損なら基本的に無償で交換してもらえることは多いのですが、故意に破損させるなど悪質な場合は、費用を負担する場合があります。
どのような時に負担するのかは、契約する福祉用具貸与事業者との契約書を見るとよいでしょう。

福祉用具のレンタルにかかる料金は、同じ型番の商品でも事業者によって異なっています。
商品ごとに「全国平均貸与価格」が国から公表されており、福祉用具貸与事業者は平均貸与価格と事業者の貸与価格の両方を示さなければなりません。
平均貸与価格をもとに商品ごとの貸与価格に上限が定められているため、事業者は過剰に高い料金を設定できないようになっています。
一例ですが、1割負担の月額料金はおおむね以下のとおりです。
| 品目 | 料金 |
| 車椅子 | 300~600円 |
| 車椅子付属品(クッションなど) | 50~200円 |
| 特殊寝台 | 700~1,400円 |
| 特殊寝台付属品(マットレスや手すりなど) | 50~400円 |
| 床ずれ防止用具 | 400~1,200円 |
| 体位変換器 | 50~1,000円 |
| 手すり | 200~500円 |
| 歩行器 | 200~400円 |
| 歩行補助杖 | 100~200円 |
| 徘徊探知機 | 400~800円 |
| 移動用リフト | 1,000~2,700円 |
| スロープ | 300~600円 |
| 自動排泄処理装置 | 800~2,500円 |

福祉用具貸与を利用する際の流れは、以下のとおりです。
もし在宅の医療・介護スタッフが利用者から「福祉用具を使いたい」と相談されたら、ケアマネジャーなどにその旨を伝えてください。事業者間で連携がスムーズにとれれば、早期に福祉用具の導入が可能となります。
福祉用具を適切に導入することで自立支援が促進され、利用者・介護者双方のQOLを向上させることができます。
しかし、今まで福祉用具を使ったことのない方では、見慣れない用具を自宅に導入することに心理的抵抗感をもつ場合もあります。
医療・介護スタッフはそのような気持ちに十分配慮し、利用者が安心して福祉用具を使えるよう、メリット・デメリットを説明できる知識をもっておくことが大切です。
2008年 理学療法士免許取得。
老健で入所・通所・訪問リハビリに従事。
保有資格は介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級。
介護保険、地域包括ケアなどに興味関心あり。
介護未来マガジンでは、制度概要や資格に関する内容をわかりやすく執筆することを心がけている。