デイサービスが目標とすべき稼働率と損益分岐点とは?
「デイサービスの稼働率と損益分岐点ってなに?」
「稼働率と損益分岐点の目安を知りたい」
このようなお悩みをもったデイサービス経営者も多いでしょう。実は、稼働率と損益分岐点には目安となる数値があります。今回は、デイサービス経営における稼働率と損益分岐点の重要性について解説します。この記事を読むことで、稼働率と損益分岐点の具体的な目安を知ることもできます。ぜひ最後までお読みください。
デイサービス経営で知っておくべき稼働率と損益分岐点とは
デイサービスの稼働率とは、デイサービスの定員に対して利用者がどの程度利用しているかを示す数値のことです。定期的に稼働率を把握することで、リアルタイムでデイサービスの稼働状況を把握できるでしょう。稼働率は以下の数式で計算することができます。
利用者数÷利用定員×100
デイサービスの損益分岐点とは、売り上げが経費を上回り、利益が発生する最低限の売上高のことです。デイサービス立ち上げ当初は、損益分岐点を目標に経営していきます。経営が安定した後も損益分岐点を把握しておくことで、売り上げに対する支出の状況を把握できるでしょう。損益分岐点の計算式は以下の通りです。
固定費÷ {(売上高-変動費)÷売上高}
デイサービス経営で稼働率と損益分岐点が重要な理由
デイサービスは介護保険制度に基づいてサービス提供を行う事業所です。介護報酬によって売上高が変動する可能性があり、報酬改定などが経営状況に大きく影響を与えます。介護報酬は定期的に改定されるため、稼働率や損益分岐点を常に把握し、経営状態を把握しておくべきでしょう。
令和2年度介護事業経営実態調査によると、デイサービスの収支差率は1.6%と低く、赤字の事業所が3割も存在していることがわかります。稼働率が高ければ高いほど売り上げが増え、損益分岐点が低ければ低いほど赤字リスクが減ります。常に稼働率と損益分岐点を管理できれば、赤字リスクを回避できるでしょう。
デイサービス経営で目指すべき稼働率と損益分岐点の数値
デイサービス経営では稼働率80%以上が理想とされています。稼働率80%以上であれば、多少利用者が減っても安定した収益が見込めるでしょう。ただし、デイサービスの収益は稼働率だけでは決まりません。稼働率の他にも、利用者1人当たりの単価や利用時間も確認しておくと、よりデイサービスの経営状況を把握しやすいでしょう。
損益分岐点については、50%以下が理想的とされています。損益分岐点50%以下であれば、定員に対して半数の利用者しか来なくても黒字化できるでしょう。ただし、借入の返済状況や立地条件などの個別要因で損益分岐点は異なります。事業所の状況に合わせて設定するのが望ましいでしょう。
デイサービスの稼働率を改善する方法
デイサービスの稼働率を改善する方法として、利用頻度を増やす、欠席対策をする、といった対策が挙げられます。稼働率を上げる方法は、利用者数を増やすだけではありません。一人当たりの利用回数を増やす方法も考えましょう。
利用者を増やす
利用者数を増やすためには、地域内で選ばれる事業所になる必要があります。地域やターゲットに合わせたサービス内容を考えて事業所の個性を出すとよいでしょう。例えば、機能訓練に特化している、レクリエーションに力を入れている、といった個性をアピールする方法もあります。ケアマネージャーや地元住民に広報活動を行って、新規利用者を増やしましょう。
利用頻度を増やす
利用者の満足度を高め、リピート率を高める方法もあります。利用者さんが「また行きたい」と思えるサービスを提供して、利用者満足度を向上させましょう。満足度が向上すれば、利用者さん一人あたりの利用回数を増やしてもらえる可能性もあります。利用者1人当たりの利用回数が向上すれば稼働率も上昇するでしょう。
欠席対策をする
利用者さんの利用回数が減ると稼働率も下がります。仮に利用者さんが欠席する場合は、欠席理由や傾向を把握するようにしましょう。利用者さんが欠席する傾向を把握して、欠席しにくい環境整備を行うと稼働率も安定します。例えば、休まず利用した方に表彰状を渡す、休んだ時には振替利用を提案する、といった方法があるでしょう。
デイサービスの損益分岐点を下げる方法
デイサービスの損益分岐点を下げる方法としては、収益性を上げる、経費を削減する、といった方法があります。具体的な対策方法は以下のとおりです。
加算を取得する
現状の人員配置で取れる加算は積極的に取得しましょう。加算を取得することで、利用者1人あたりの報酬額が上昇します。売上高が上昇するので、相対的に損益分岐点を下げられるでしょう。
人件費を削減する
必要以上の人員を配置しないようにしましょう。介護の現場は書類作成などの雑務も多く、人員を多めに配置しがちです。ICTなどを活用し、必要最小限の人員を配置することで、人件費を削減できます。人件費を削減できれば、損益分岐点を下げられるでしょう。
家賃を削減する
一般的に適切な家賃の水準は10%程度とされています。現在の家賃が適正水準か確認しておきましょう。周囲の環境から考えて家賃が高いと判断した場合は、家賃交渉を行って経費を下げる方法もあります。介護事業所において、人件費の次に大きな支出は家賃です。家賃の削減について積極的に検討しましょう。
デイサービス経営をするなら数値を追う
デイサービス経営を行うのであれば、さまざまな数値を追っていきましょう。特に稼働率と損益分岐点は重要な指標です。稼働率が低ければ報酬額も低くなり、損益分岐点が高ければ赤字リスクも高くなります。80%以上の稼働率と50%以下の損益分岐点を目指し、さまざまな対策を行っていく必要があるでしょう。また、介護報酬改定の影響などで収益性が低下する可能性もあります。定期的に稼働率と損益分岐点を把握し、早めに対策することをおすすめします。