介護業界の課題である2025年問題について解説
介護業界でよく耳にするのが「2025年問題」という言葉です。
2025年となるともう間近にせまっており、認識していなければならない問題といえるでしょう。
今回は2025年問題とはどういったものなのか解説します。
2025年問題とは?
2025年問題とは、2025年に総人口1億2,257万人のうち、後期高齢者の人口が2,180万人になることで生まれる、さまざまな社会問題や影響のことをいいます。
これは、団塊の世代と呼ばれる第一次ベビーブームの世代に生まれた世代約800万人全員が、2025年に75歳以上の後期高齢者になるためです。つまり、日本人の約2割が後期高齢者になるということです。
このことから、高い医療費負担や認知症高齢者の増加、人材不足などさまざまな問題が起こることが考えられます。
2025年問題に対して国が行っている対策
2025年問題の対策として、政府は、全世代型社会保障検討会議を設置して、医療や介護、年金などの問題を検討しています。
政府は、厚生年金の加入条件緩和を検討しており、これによってパートなどの短時間労働者が厚生年金に加入しやすくなり、就職氷河期といわれる世代の非正規雇用者の低年金対策にもなると期待されています。
他にも75歳以上の後期高齢者の病院などでの窓口負担を、一定の所得がある人は1割から2割へ引き上げる方針などを検討しています。
2025年問題に対して介護事業が対策できること
高齢者が増加していくということは、介護事業の需要が高まるということです。
デイサービス、訪問看護、その他においてあらゆる介護事業の需要が高まることが予想されます。
このことから事業所における人材確保が今まで以上に必要になります。そしてこれからは、認知症特化型など特色を持った事業を運営することも、社会的貢献度が高まるでしょう。
人材不足を解決するためには、人材確保、離職防止が必要になります。介護事業においては、シニア労働者、外国人労働者の積極的な雇用を始め、産休育休制度を設け、子育て世代の女性が働きやすい労働環境の設定が必要です。
職員が仕事を続けたくても、家族の介護や子育て、看護などを理由に転職せざるを得ないケースもあります。家庭の環境や事情に対して、職場で理解し合える環境にしていくことが理想的でしょう。
離職に関しては、職員のモチベーションが下がらないよう維持することが長く働いてもらうポイントです。定期的な仕事の評価や、スキルアップのための勉強会を計画することにより、職員は向上心を持って働けるでしょう。サービス残業や無理な労働は極力減らし、一人当たりの仕事の負担が大きくなりすぎないようにすることが大事です。
また、人口の3分の1を高齢者が占めるといわれている2035年問題にもアンテナを張っておく必要があります。経営者は、今から事業所を整えていくことが必要になるでしょう。
2025年問題でさらに介護の需要が高まる
この先、高齢者は増え続けます。2025年だけでなく2035年も見据え、これからの介護業界はますます需要が高まる大きな業界になることは確実でしょう。
これから先のことを考えると、経営者は事業所の労働環境、労働条件、そして職場内の人間関係を整えていく必要があります。将来的には今以上に忙しくなることが予想されるため、いかに職員の離職を減らし、現在所属している職員の労働環境を安定させていくかが今後の大きなポイントではないでしょうか。
2025年問題の高齢者増加に伴う介護需要の高まりに対して、強固な職場の地盤作りを今から行い、安定した経営を心掛けることをおすすめします。