理学療法士による訪問看護の開業に重要なこととは?
開業をする理学療法士の数は増えてきており、その中には看護師が多く働く訪問看護の開業も含まれています。
今回は理学療法士によって訪問看護ステーションを開業するにあたり、重要なことを解説します。
理学療法士による訪問看護ステーションの開業
地域包括ケアシステムの構築が進む中、訪問看護ステーションの需要は高まる一方です。その訪問看護ステーションは、医療法人や社団法人だけでなく、株式会社、有限会社、NPO法人などさまざまな形で開業することが可能です。
訪問看護ステーションは、介護施設や他の介護事業所よりも少ない設備投資で開業できます。そのため、地域での介護需要を理解した理学療法士が訪問看護ステーションを開業しているケースがあります。
また、理学療法士は独立・開業して理学療法を行うことはできません。こうした理由から、起業の方法の一つとして訪問看護ステーションを開業するという理学療法士も多くいます。また、理学療法士にはロジカルな思考を持った人が多く、性格的にも経営に向いている人が多くみられます。
これからの訪問看護に必要なこと
高齢化が進む中でこれからの訪問看護に重要なのが、自立支援や介護予防の視点です。
自立支援や介護予防を進めていくには、自費である公的保険外サービスを利用した訪問看護が重要です。
公的保険外サービスがあることで、保険内サービス以上のサポートを受けたい利用者さんの要望に寄り添うことができます。訪問看護の利用者さんにとっても、サービスの選択肢がたくさんある方が、より充実した生活を送れることでしょう。変わっていく利用者さんのニーズにどれだけ対応できるかが今後の経営のポイントになります。
これらの理由から、これからの訪問看護ステーションでは、公的保険外サービスの提供を進めていくことが求められます。
理学療法士が訪問看護を開業する中での課題
訪問看護では人員の確保が不可欠であり、管理者の配置と看護師常勤換算2.5人以上が必要です。たとえ理学療法士が開業したとしても、管理者は看護師と決まっているため、理学療法士が管理者になることはできません。そのため、訪問看護ステーションで活躍するリハ職が増えてきていても、看護師の人員確保も引き続き重要な課題となります。
看護師の緊急のフォローも理学療法士では代用できないこともあるため、十分な看護師の人員確保をして、今後の介護需要に答えていかなければなりません。
また、訪問看護での収入の柱となる介護報酬と診療報酬は、それぞれ報酬の改定があるため、注意が必要です。改定の内容によっては経営の状況が大きく変わる場合があります。安定した経営をするためには、報酬改定についての最新の情報や業界の動向の予測などが必要になってきます。
現場を知る理学療法士だからこそできる訪問看護を
理学療法士は、医療の現場での実働を通して、現在の訪問看護の現場に何が不足しているか、そして何が必要とされているかなどを把握することができます。
現場を良く知る理学療法士が経営することは、利用者さんの需要に沿ったサービスを提供できる点で、非常に有利です。
利用者さんのニーズは時代とともに変わっていきます。そこにいかに気づき、どのようなサポートを展開していけるかが、今後訪問看護ステーションを経営していくにあたって一番重要な点です。今まで培ってきた現場での経験を活かし、現場を知る理学療法士だからこそできる訪問看護を経営していきましょう。