ケアマネジャーの大変さを解説!やめたい時にすべきことも
ケアマネジャーは、要介護・要支援状態の利用者に対するサービスの調整役を担っています。
障害を負った方が住み慣れた地域で生活を続けられるよう、日々奔走しています。
そんなケアマネジャーの仕事は大変だといわれ、疲弊しながら業務している人もいるのが現状です。
そこで本記事では、ケアマネジャーの大変さについて解説していきます。
記事後半では、仕事をやめたいと思っている人がすべきことについても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
ケアマネジャーの仕事内容とは?
ケアマネジャーの仕事内容は、介護サービスを調整することです。
直接サービスを提供するのではなく「利用者・家族」と「介護サービス事業者・市町村・施設など」との間に入り双方の橋渡しをします。
目的は「利用者の自立した生活の獲得」です。利用者が「こんなことができるようになりたい」「こんな暮らしをしたい」といった、理想の形が実現できるよう「自立支援の観点」からサービスを調整していきます。
ケアマネジャーの大変なところ
サービス調整役であるケアマネジャーの仕事は、自立支援においてとても重要な位置づけと考えられます。しかし大変なところも多く、心身を疲弊しながら日々業務している人もいるようです。
では、ケアマネジャーの大変なところを以下で解説していきます。
仕事のプレッシャーが大きい
ケアマネジャーは、仕事のプレッシャーが大きいことが大変といわれています。
理由は、ケアマネジャーの作るプランによって利用者の生活が左右されるからです。
自立支援に向けたよいプランができれば生活機能の向上が見込まれるでしょう。
しかし、プランの内容によっては体調の悪化や生活機能の低下を招くこともあるのです。
つまり、ケアマネジャーの力量しだいで利用者の生活をよくも悪くもできてしまうということ。
特にケアマネジャーになりたての頃では自分のプランに自信をもてず、大きなプレッシャーを感じてしまいます。
業務量が多すぎる
ケアマネジャーの業務量は多く、主に以下のようなことを日々行っています。
- 書類作成(アセスメントシート・ケアプラン・モニタリング記録・会議録・給付管理票など)
- 担当者会議
- 利用者宅の訪問とモニタリング
- 緊急時の対応
事業所内で行う業務から外に出て行うものまで、さまざまです。日によっては利用者宅・他事業所・医療機関などを訪れ、一日中飛び回ることも。
疲れて事業所に戻ってくれば膨大な書類作成に追われる日々。業務量の多さによって、ケアマネジャーは疲弊し大変だといわれています。
制度改定への対応に苦労する
ケアマネジャーはさまざまなサービスを調整する役割があるため、サービスごとの法令や制度についての知識をもっていなければなりません。
知識を得るためには日頃の業務に加え、自己学習を継続して行う必要があります。
多忙な中でうまく時間を作っていくか、業務時間外に勉強しなければならないのです。
日々学習を続ければ知識は習得できるものの、3年に一度の介護報酬改定が待っています。やっと覚えた知識も現場で活用していくためには、新たな知識にアップデートしなければなりません。また勉強の日々となってしまいます。
勉強しても終わりが見えないところは、本当に大変です。
苦手分野の勉強が必要
ケアマネジャーは基礎資格の種類によって、得意分野・苦手分野が異なります。
たとえば介護系の職種からケアマネジャーになった人は、医療系の知識に苦手意識をもつ場合があります。一方で医療系の職種からなった人の中には、福祉サービスに関して苦手と感じる人もいるのです。
苦手な分野があると、作成するプランのサービス内容が苦手分野を避けるようになってしまいます。
多様な社会資源を利用することが基本であるため、医療と福祉の知識を幅広く習得し、苦手分野を克服する姿勢が大切です。しかし日々の業務に追われ制度の勉強もしながらでは、なかなか手がつけられないことでしょう。
書類作成にPCスキルを求められる
現在は電子カルテや書類作成システムを導入している職場が多くなっています。
そのため、今までPC作業にあまり触れてこなかった人では、新たにケアマネジャーとして働くことを考えると大変かもしれません。
というのも、PCの使い方から覚えなければならず、ケアマネジャーの仕事どころではない場合もあるからです。
PCを使いこなせればすぐに終わる業務も、手書きでないとできないことがあり、効率よく仕事できないこともあるでしょう。
ICT化がすすんでいるものの、流れについていけず、大変な思いをすることもあるのです。
何かあればケアマネジャーへ連絡がくる
事業所や利用者宅で何か困りごとがあると、ケアマネジャーは何かと対応しなければなりません。以下3つの事例を見てみましょう。
- デイサービスに来ている利用者が「今日はお腹が痛い」と言っていた
- 利用者宅にあるベッドの調子が悪いのを訪問介護のスタッフが見つけた
- 理学療法士が訪問リハビリでおじゃましたところ、利用者の腕に傷があった
一つ目はケアマネジャーが利用者宅を訪問し体調を確認後、受診の必要性について助言しなければならないことがあります。
二つ目は福祉用具の事業所に連絡し、メンテナンスの依頼をします。
三つめは転倒によるものか、あるいは虐待の疑いがあるのかなどの確認が必要です。前者であれば転倒予防に関する対策を訪問理学療法士に依頼し、後者であれば地域包括支援センターへ情報提供するなどの対策が必要になります。
このように、ささいなことから大きな問題に発展するかもしれない事案まで、利用者に関わるさまざまな情報がケアマネジャーに入ってきます。そのたびに状況確認と対応に追われ、非常に大変な思いをするのです。
関わる人たちとの関係性に苦労する
ケアマネジャーは、利用者とその家族・事業所の同僚・他事業所の担当者・主治医など多くの方と関わり、関係性に苦労することもあります。
時には理不尽な要求や、お叱りを受けることもあるでしょう。
また、利用者からの受け入れが悪く信頼関係を構築するのにとても苦労したり、自宅に訪問させてもらえなかったりすることもあります。
うまくサービス開始までつなげたとしても、利用者とサービス事業所との間に中立でいることのストレスを感じ、大変だと思うことも多いでしょう。
困難事例でも付き合いが長くなる
居宅のケアマネジャーが利用者を担当すると、基本的に長い付き合いになります。
というのも、一度受け持った利用者の担当を外れるのは、以下に示すできごとくらいしかきっかけがないからです。
- 利用者が亡くなってしまう
- 介護保険を利用しなくなる
- 医療機関への入院や施設への入所
- 他のケアマネジャーに担当が替わる
上記のできごとがないかぎりは、困難事例といわれる利用者でも長く付き合っていかなければなりません。
地域包括支援センター・行政などの支援を受けることもありますが、プラン作成とサービス調整はケアマネジャーの仕事です。
自宅への訪問ができない・家族からの当たりが強いといった状況でも、利用者の自立支援をつねに考え、サービス調整しなければならないのは大変な苦労といえるでしょう。
資格の更新に時間と費用がかかる
ケアマネジャーは5年に1回、資格の更新が必要です。更新しなくても資格がなくなるわけではありませんが、有効期間が過ぎると業務ができなくなります。そのため、業務を継続するなら更新のために研修を受けなければなりません。
しかし研修にかかる日数は長く、時間と費用が大きくかかります。
特に、実務経験6ヵ月未満の人が受ける更新研修は80時間以上もあり、金額も数万円かかってしまいます。
研修は課題の提出やテストもあるため、気を抜くこともできません。
引継ぎに手間がかかる
何らかの理由で担当ケアマネジャーが替わる場合、利用者の引継ぎが必要です。
長く担当していた方であれば、これまでの経過や特別な事情など含め、支援に必要なことは詳細に伝達しなければなりません。
特に困難事例の場合は、利用者だけでなく家族との関わり方やサービス調整手順、特別に注意することなど色々と気をつかう必要があります。
引継ぎも一筋縄ではいかず、大きな手間がかかるのです。
業務の大変さに給料が見合っていない
厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると、ケアマネジャーの年収はおよそ410万円と報告されています。
一方で令和3年分国税庁の民間給与実態統計調査によると、日本人の平均年収は443万円であり、ケアマネジャーの給料は平均以下であることがわかっています。
業務量が多く、心身を疲弊しながら働いているにもかかわらず、満足する給料がもらえないという現状です。
これでは「ケアマネジャーは大変、やめたい」といった声があがっても納得できますね。
ケアマネジャーが大変でやめたい時にすべきこと
ここまで、ケアマネジャーの大変なところについて解説してきました。
大変な業務に疲弊し、やめてしまいたいと思うこともあるでしょう。
しかしケアマネジャーは、要介護者の生活をよりよいものにするために欠かせない貴重な人材です。
誇りとやりがいをもって継続していけば、大きくスキルアップできるでしょう。
それでもやめたいと思う時は、これから紹介することを試してみてください。
同僚・先輩に相談する
まずは同僚や先輩に、やめたい旨を伝えて相談にのってもらいましょう。
ケアマネジャーのどのようなところが大変で、今後どうしていきたいか詳しく話してみてください。やめたいと思っている時は、ネガティブな思考になりがちです。
客観的な意見を聞かせてもらえば、解決できる問題があることに気づくかもしれません。
別の機関を頼る
もし、困難事例を抱えて深く悩んでいる場合は、地域包括支援センターに相談してみましょう。支援の方向性や関わり方についてアドバイスしてもらえたり、包括支援センターが一緒に介入してくれたりする場合もあります。
ひとりで悩んでいても、よい対策は思いつかないものです。多角的な視点から介入の糸口を見つけられる可能性があるため、ぜひとも外部の機関を頼ってみてください。
別の事業所に異動する
勤務先の人間関係で悩んでいるのであれば、別の事業所への異動を検討するとよいでしょう。
事業所外へ訪問することが多い仕事とはいえ、勤務先で同僚との関わりがないわけではありません。馬が合わない人と毎日顔を合わせていると、ストレスはたまる一方です。
付き合う人間が変われば、気持ちを切り替えられる可能性があります。別の事業所でケアマネジャーを継続するという選択も検討してみてください。
施設ケアマネジャーになる
居宅のケアマネジャーがあまりにも大変であれば、今まで得た知識や技術を活かして施設ケアマネジャーになるという方法もあります。
施設ケアマネジャーのメリットは、居宅と比較し事業所外への訪問がほとんどないこと。
介護業務との兼務になることもありますが、基本的に施設内での業務で完結できます。
サービス調整や緊急時の対応による外出が大変だと思うのであれば、施設ケアマネジャーの業務がおすすめです。
ケアマネジャーが大変ならやめてもいい
本記事ではケアマネジャーの大変なところや、やめたい時にすべきことを紹介しました。
ケアマネジャーのメリットは、資格の有効期限がすぎても更新すればまた働けることです。
つまり一度離れて元の職種で働き、またケアマネジャーをやってみたいタイミングで始められるということ。
業務そのものや人間関係に疲弊することもあるため、どうしてもやめたいと思った時は、別の職種で働いてから考え直すこともひとつでしょう。