放課後等デイサービスの人員配置についてわかりやすく解説

遊ぶ子供たち

日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)

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「放課後等デイサービスを開業したいけど人員配置基準が複雑でわからない」
「どんな職員を何人配置したよいのかわからない」

このような悩みを抱える経営者も多いのではないでしょうか。放課後等デイサービスは児童福祉法に基づいて運営される施設です。そのため、必要なサービスを提供するために適切な人員配置基準が法律で定められています。

今回は、放課後等デイサービスの人員配置基準についてわかりやすく解説し、理想的な人員配置をする上での注意点も紹介します。ぜひ最後までお読みください。

目次

放課後等デイサービス職員の役割とは

放課後等デイサービスとは、障がいのある児童が放課後や学校の長期休暇期間中に通うことができる施設です。厚労省の「放課後等デイサービスガイドライン」によると、放課後等デイサービスには、子どもの最善の利益の保障、共生社会の実現に向けた後方支援、保護者支援という3つの役割があります。

3つの役割を果たすため、放課後等デイサービス職員には以下の4つの業務を遂行することが求められています。

・子育ての悩み等に対する相談を行うこと
・家庭内での養育についてペアレント・トレーニング等を活用する
・子どもの育ちを支える力をつけられるよう支援する
・保護者の時間を保障するために、ケアを一時的に代行する支援を行うこと

参考)厚労省「放課後等デイサービスガイドライン」

放課後等デイサービスの人員配置基準

放課後等デイサービスの人員配置基準に関しては以下のようになっています。一般的な放課後等デイサービスと重度心身障がい児対応型(重心型)の放課後等デイサービスがあり、若干人員配置基準に違いがあるため注意しましょう。

人員配置基準
管理者1名以上
*業務に支障がなければ、他職務と兼務可
児童発達支援管理責任者1名以上
児童指導員または保育士利用人数10名に対し配置2名
*重度心身障がい児施設の場合は1名以上
看護職員医療ケアを行う時間帯のみ配置
*重度心身障がい児施設の場合は1名以上
機能訓練指導員機能訓練を行う時間帯のみ配置
嘱託医重度心身障がい児施設の場合は1名以上

管理者

管理者は施設の管理運営を行う役割をになっています。具体的な業務内容として、利用者の申し込み対応や調整、職員の管理などです。管理者は常に1名以上配置する必要がありますが、支障のない範囲で他の業務と兼任できます。管理者になるための要件は特にありません。

児童発達支援管理責任者

児童発達支援管理責任者は通称「児発管」とも呼ばれ、施設内で提供されるサービス内容の管理を行う役割を持っています。具体的には、個別支援計画を作成する、家族や相談支援専門員との連携や調整を行う、といった業務に従事します。

児童発達支援管理責任者になるには、複数の条件をクリアしなければいけません。具体的には、介護福祉士や保育士などの資格を持っている者が規定の実務経験を経て、各都道府県で行われる以下の2つの研修を受講する必要があります。

  • 相談支援従事者初任者研修
  • 児童発達支援管理責任者研修

参考)社会保障審議会障害者部会「サービス管理責任者及び児童発達支援管理責任者の猶予措置について」

児童指導員・保育士

児童指導員とは、個別支援計画に基づいた支援サービスを実行する職員です。具体的には、行事や日常生活の支援、日々の活動記録をつける、といった業務を実施します。

一般的な放課後等デイサービスでは利用者10名に対し職員2名となる割合で児童発達指導員を配置し、重度心身障がい児型の放課後等デイサービスの場合は1名以上の配置が必要です。児童指導員になるには任用資格が必要で、以下の条件のいずれかを満たすことで取得できます。

  • 4年制大学や通信制大学で社会福祉学、心理学、教育学、社会学を専修する学部、学科を卒業している
  • 社会福祉士、精神保健福祉士のいずれかの資格を取得している
  • 高校若しくは中等教育学校を卒業し、2年以上児童福祉事業に従事している
  • 3年以上児童福祉事業に従事している
  • 幼稚園教諭、小中学校、高等学校の教員免許を所有している。

看護職員

看護職員は、利用者さんの医療的ケアを行う役割を持っています。具体的には、服薬の管理や、体調悪化時の対応などの業務に従事します。

一般的な放課後等デイサービスの場合は、医療ケアを行う時間帯のみ配置する必要がありますが、重度心身障がい児型の放課後等デイサービスの場合、営業時間帯は常時1名以上配置する必要があります。

機能訓練担当職員

機能訓練担当職員は利用者さんの心身機能回復のために訓練を行う職員です。具体的には、機能訓練計画の作成、計画に基づいた訓練の実施などを行います。人員配置の具体的な要件はありませんが、機能訓練を実施した時間帯に配置しなければいけません。

嘱託医

重度心身障がい児型の放課後等デイサービスでは、1名以上の配置が必要です。常勤の義務はありませんが、営業時間中は緊急時に対応できる体制を整えておく必要があります。一般的な放課後等デイサービスには要件がありません。しかし、何かあった際に連携できる医療機関があったほうが良いでしょう。

放課後等デイサービスにおける人員配置の注意点

放課後等デイサービス事業所においては、管理者、児童発達指導員または保育士、児童発達支援管理責任者、機能訓練担当職員(機能訓練を行う場合)の配置が必須です。

また、重症心身障害児に対して放課後等デイサービスを行う場合は、嘱託医、看護職員、機能訓練担当職員の配置を行い、医療的ケア等の体制を整える必要があります。

児童指導員や保育士が所定の人員よりも少ない場合、サービス提供職員欠如減算に該当します。人員欠如の状況と期間に応じて報酬が減額されるため注意が必要です。また、あまりにも著しい人員配置基準違反があった場合には、指定取り消しとなるおそれもあるので気をつけましょう。

引用)厚労省「放課後等デイサービスガイドライン」

放課後等デイサービスの人員配置で考えるべき問題点

放課後等デイサービスで働く職員は、児童や保護者とのコミュニケーションを取りつつ、必要なサービス提供を行う必要があります。日常生活の支援だけでなく、機能訓練やイベント企画などの業務に追われ、精神的な負担が大きくなりがちです。

仮に人員配置基準を満たしていたとしても、現場での業務が多くなると職員への負担が大きくなります。職員の負担が大きくなることで、トラブルや事故につながる可能性もあるので注意が必要です。人員配置基準だけでなく、現場の業務内容も考慮して人員配置を考えたほうがよいでしょう。

放課後等デイサービスにとって理想的な人員を配置する

今回は放課後等デイサービスの人員配置基準について解説しました。放課後等デイサービスでは、児童福祉法に基づいて管理者、児童発達支援管理責任者、児童支援員や保育士などの配置基準が定められています。

法律上の人員配置基準だけでなく、サービス内容に応じた人員配置を行うことが重要です。放課後等デイサービスを運営する際には理想的な人員配置を行い、質の高いサービスを提供することが求められています。

参考)厚労省「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」

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この記事を書いた人

野田晃司のアバター 野田晃司 作業療法士/ライター

2010年に作業療法士資格を取得し、2年間の病院勤務後、通所介護施設を運営する企業に入社。2つのデイサービス立ち上げを経験後、施設管理者として8年勤務。その間、高齢者デイサービス、放課後等デイサービスなどを展開し、約50名の従業員が勤務する会社の役員としてマネジメントにも関わる。
現在は、フリーのWebライターとして活動中。長年の経験と知識を活かし、多数のメディアで記事を執筆する。

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