放課後等デイサービスの立ち上げの流れをわかりやすく解説
「放課後等デイサービスの立ち上げってどうやるの?」
「放課後等デイサービスを立ち上げる手順を知りたい」
このようなことを考えている経営者の方も多いのではないでしょうか?放課後等デイサービスは、必要な指定基準を満たし、事業所指定を受けることで開業できます。今回は、放課後等デイサービスの立ち上げ手順と、立ち上げの注意点について解説します。この記事を読むことで、スムーズに放課後等デイサービスを立ち上げられます。ぜひ最後までお読みください。
放課後等デイサービスの概要
放課後等デイサービスとは、障がいのある6〜18歳の子供を対象にした障がい福祉サービスです。厚生労働省の「放課後等デイサービスガイドライン」によると、以下のように記載されています。
- 子供の最善の利益の保障
- 共生社会の実現に向けた後方支援
- 保護者支援
学校と家庭とは別の場所で障がいを持った子供の健全な発育をサポートする場所です。また、子どもを共生社会へ参加させるサポートや保護者の支援を行う施設でもあります。役割を果たすために、以下のような基本活動を行います。
- 自立支援と日常生活の充実のための活動
- 創作活動
- 地域交流の機会の提供
- 余暇の提供
放課後等デイサービス立ち上げに必要な基準
放課後等デイサービスを開業するために以下の4つの基準を満たす必要があります。手続きを始める前に、立ち上げに必要な基準を理解しておきましょう。
- 法人であること
- 人員基準
- 設備基準
- 運営基準
それぞれの基準について解説します。
法人であること
放課後等デイサービスを開業できるのは法人のみです。個人で開業することはできません。法人とは、株式会社、合同会社、NPO法人などです。
児童福祉法に基づき放課後等デイサービスを行うことを事業目的に記載しておかなければいけません。もし、記載していない場合は定款を変更する手続きをしましょう。
人員基準
人員基準を満たすには、管理者、児童発達支援管理者、児童指導員、保育士、機能訓練担当職員が必要です。以下の表にまとめているのでご参照ください。
必要な人員 | 基準 |
---|---|
管理者 | 1名以上 *業務に支障がなければ、他職務と兼務可 |
児童発達支援管理責任者 | 1名以上 |
児童指導員または保育士 | 利用人数10名に対し配置2名 *重度心身障がい児施設の場合は1名以上 |
看護職員 | 医療ケアを行う時間帯のみ配置 *重度心身障がい児施設の場合は1名以上 |
機能訓練指導員 | 機能訓練を行う時間帯のみ配置 |
嘱託医 | 重度心身障がい児施設の場合は1名以上 |
設備基準
設備基準を満たすには、指導訓練室、事務室、相談室、洗面所、トイレといったスペースが必要です。都道府県が放課後等デイサービスの事業所指定をするので、各自治体ごとに若干異なります。実際に開業する際には、開業予定の都道府県窓口へ確認すると良いでしょう。
必要な設備 | 基準 |
---|---|
指導訓練室 | 指定を出す自治体によって障がい児1人あたりの床面積が決まっている。 |
事務所 | 職員、設備備品が収容できる広さを確保する |
相談室 | 相談内容が外部へ漏洩しないように工夫されていること |
洗面所・トイレ | トイレと手洗い場の空間を別にする |
運営基準
運営に関する基準をもとに、各事業所で運営規程を定めます。施設運営に関しては以下のような基準が設けられています。
- 利用定員が10名以上
- 個別支援計画を作成する
- サービス内容等の説明と同意
- 指導と訓練の実施
上記の内容を運営規定に記載し、その内容を利用者に説明、同意する必要があります。
放課後等デイサービス立ち上げの流れ
放課後等デイサービスの立ち上げは以下の手順で行います。
- 開業地域を決める
- 事業計画書を作成
- 法人を設立
- 行政に相談
- 資金調達
- 施工と備品の準備
- スタッフの確保
- 指定事業者申請
- 現地調査
- 開業
各手順について解説します
1、開業地域を決める
放課後等デイサービスの開業地域を選定します。必ずエリア調査を行い、開業後のことを考えて開業エリアを決めましょう。地域特性、エリアのニーズ、近隣の同業施設などの調査が必要です。地域からのニーズがなければ利用者も集まりません。
2、事業計画を作成する
放課後等デイサービスを立ち上げるには事業者指定を受ける必要があります。行政に提出する事業計画書の内容は非常に重要です。申請方法は各自治体ごとに異なりますが、運営基準、経営方針、具体的なサービス内容などを含めると良いでしょう。
3、法人を設立
法人を設立していない場合には、早めに法人設立をしておきましょう。株式会社を設立する場合でも2週間程度必要です。すでに法人を設立している場合でも、定款に放課後等デイサービスを開業できる内容に修正しておきましょう。
4、行政に相談
事業計画を持参して行政に相談しましょう。ホームページに記載している内容だけで事業計画を立てて安心してはいけません。行政の意向に沿わない点があった場合、後で大幅な修正が必要になります。事業所の工事を始める前に必ず確認しましょう。万が一設備の不備が見つかった場合に、大幅な修正が必要になる可能性があります。
5、資金調達
資金調達の方法はさまざまですが、一般的には銀行からの融資や自己資金で立ち上げる場合が多いでしょう。融資を受ける場合には、収支計画書が重要です。銀行にとっては「貸したお金が返ってくるのか?」が重要です。事業計画に加えて、現実的な収支計画を立てましょう。
6、施工と備品の調達
施設の工事が開始します。工事と併行して備品の準備も進めていきましょう。放課後等デイサービスの場合、高価な医療機器などが必要になることは少ないかもしれませんが、遊具や勉強机などを少しずつ探していきましょう。また、開業までに工事進捗状況をこまめに確認しておくとよいでしょう。
7、スタッフの確保
人員基準を満たすためにスタッフを確保します。ハローワークや求人情報誌、インターネットなどを活用して人員を集めましょう。地域によってはスタッフが集まらずに苦労する場合もあります。余裕をもって採用活動を行っていきましょう。
8、指定事業者申請
施設の準備とスタッフの確保が終了したら、指定事業者申請を行います。管轄の自治体へ必要書類を提出します。必要書類や提出方法などは各事業所のホームページで確認しましょう。
9、現地調査
行政の担当者が現地調査に訪問します。申請書類通りに設備基準を満たしているか、修正が必要な箇所について確認します。この時点で大幅な修正を指示されると大変です。施工前に行政に相談に行くことで、現地調査をスムーズに済ませることができるでしょう。
10、開業
無事に事業所指定を受けると放課後等デイサービスを開業できます。開業した後は、実際に児童を受け入れる準備を始めましょう。スタッフのオリエンテーションや、広報活動なども行っていく必要があるでしょう。
放課後等デイサービスを立ち上げる際の注意点
指定基準を満たして、開業資金さえあれば、放課後等デイサービスを立ち上げられます。しかし、立ち上げればそれで終了ではありません。その後の運営のことも考えて放課後等デイサービスの立ち上げをしましょう。
他施設の連携が重要
放課後等デイサービスは特に他施設との連携が必要な施設です。児童発達支援事業所、放課後児童クラブ、小学校など、他施設との信頼関係が非常に重要です。開業前に地域の関連施設に挨拶回りにいく、説明会を開く、などの活動をしていきましょう。
事業所の特色をアピールする
どんなサービスを受けられる放課後等デイサービスなのか分からなければ、利用者は集まりません。施設の強みをアピールしましょう。多くの場合、放課後等デイサービスは保護者の方が決定権を持っています。保護者の方にわかりやすく説明できるようにしておきましょう。
放課後等デイサービスを立ち上げるのは簡単
放課後等デイサービスを立ち上げるのは簡単です。必要な基準を満たして、開業資金を用意できれば、誰でも開業できます。しかし、開業すれば終わりではありません。放課後等デイサービスを開業して、どのように地域に貢献するのか、ということを常に考えておきましょう。地域に愛される放課後等デイサービスになるためにどう準備すればいいのか考えながら開設しましょう。