【利用者向け】訪問リハビリの内容を徹底解説します!

日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)

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訪問リハビリで受けられるリハビリの内容って何?

他のリハビリサービスとの違いは?

本記事は、このような悩みをお持ちの利用者向けの記事です。

訪問リハビリで提供するリハビリサービスの内容について、訪問看護や通所リハビリと比較して解説しています。

ご自身、ご家族がどのようなリハビリを受ければよいのか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

目次

訪問リハビリとは

訪問リハビリとは病院や診療所などの医療機関や、介護老人保健施設に在籍する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(セラピスト)が利用者の自宅を訪問し、リハビリするサービスのことをいいます。

病院や施設へ通うことが困難な方や、退院・退所後の生活に不安がある方などに対して、主治医が訪問リハビリの必要性を判断した場合に利用できます。

訪問リハビリの目的は、以下のとおりです。

  • 利用者の心身機能の維持・回復
  • 日常生活の自立
  • 社会参加の促進

訪問リハビリはその名のとおり、自宅に訪問してもらうサービスです。

外出にかかる時間や手間を必要とせず、個々の自宅環境に合わせたリハビリを受けられる特徴があります

また、訪問リハビリは介護保険のサービスと医療保険のサービスに分けられます。

それぞれが適用となる方の違いは原則として以下のとおりです。

  • 介護保険のサービス:要介護認定を受けている方
  • 医療保険のサービス:65歳未満や、65歳以上で要介護認定を受けていない方

次に、訪問リハビリの対象者やリハビリを受けられる時間や頻度、料金などについて解説します。

訪問リハビリは、要介護認定を受けている方が利用していることがほとんどですので、以下では介護保険適用の場合における内容をお伝えしていきます。

対象者

要介護認定を受けている方が対象です。

要介護1以上の方は「訪問リハビリテーション」、要支援1と2の方は「介護予防訪問リハビリテーション」というサービス名称になります。

対象者は以下のような状態像であり、主治医が訪問リハビリを必要だと判断した場合に利用できます。

  • 体や手が動きにくく、日常生活に不安がある
  • 筋力低下によって移動に不安がある
  • 言葉をうまく発せられず会話に支障がある
  • 食べ物を飲み込みにくく、むせることがある
  • 麻痺や拘縮(関節がかたくなる)がある
  • 福祉用具の使い方がわからない

介護認定を受けているからといって、すべての方が訪問リハビリを受けられるわけではありません。

しかし上記に該当し、生活に支障をきたしているのであれば、主治医への相談をおすすめします。

時間や頻度

厚生労働省によると、訪問リハビリは1回あたり20分以上で、週6回(120分/週)が限度とされています。

ただし例外もあり、「医療機関や施設からの退院・退所後3ヶ月以内」は、週12回(240分/週)までサービスをうけられます。

また、1週あたりの規定時間以内(120分もしくは240分)であれば、一日に複数回サービスを受けることも可能です。

たとえば週6回(120分/週)までの方であれば、以下のようなやり方ができるのです。

  • 1日2回(40分)で週3回行う:短時間を高頻度で行いたい方向け
  • 1日3回(60分)で週2回行う:1回あたりの時間を充実させ、かつ週に2回は行いたい方向け
  • 1日6回(120分)で週1回行う:交通機関を利用して外出の練習など、長時間の練習をしたい方向け

これにより、利用者のニーズに応じてリハビリの回数と時間を調整できるため、より個々にあったリハビリが提供できることがわかります

料金

訪問リハビリにかかる料金の目安は、介護保険の自己負担割合が1割の方において以下のとおりとなります。

種類内容料金
訪問リハビリテーション費訪問リハビリにかかる基本料金307円/回
移行支援加算訪問リハビリを終了した方の5%以上がデイサービスなどへのサービスに移行している場合にかかる料金

訪問リハビリを終了した後に他のサービスに移行できている、つまり社会参加をしっかりと促進できる事業所であることの証明
17円/日
サービス提供体制強化加算理学療法士等のうち、一定の勤続年数を超えた者が在籍していることでかかる料金

経験年数が長く質の高いセラピストが在籍していることの証明
(Ⅰ)勤続年数7年以上の者が1人以上:6円/回

(Ⅱ)勤続年数3年以上の者が1人以上:3円/回
短期集中リハビリテーション実施加算退院・退所日や介護保険の初回認定日から3ヶ月以内の方に対し、週2回以上の訪問リハビリを実施した場合にかかる料金

要支援者の場合、1ヶ月以内は1日あたり40分以上の訪問リハビリが必要
200円/日
リハビリテーションマネジメント加算
(要介護者のみ)
利用者に関わる多事業者を含めて、一定の頻度でリハビリに関する会議を開催し、定期的に計画を見直すことによるプロセスに対してかかる料金

当該加算を算定していることで、計画の見直し・修正・実行・見直しのサイクルにおける質が担保される
(A)イ:180円/月

(A)ロ:213円/月

(B)イ:450円/月

(B)ロ:483円/月
事業所評価加算
(要支援者のみ)
1年間(1/1~12/31)における要支援利用者の状態の維持・改善割合が一定以上の場合にかかる料金

要支援利用者に対して質の高いリハビリが提供できる事業所であることの証明
120円/ 月

その他、訪問しづらい地域(豪雪地帯や過疎地)などで訪問リハビリを運営していることで、所定の金額に10~15%ほど加算される場合もあります。

訪問リハビリの内容

それでは、訪問リハビリで提供するサービス内容について解説します。

病状の観察

病状の観察は、異常の有無や早期発見、効果的なリハビリを提供するために大切なことです。

訪問リハビリを受ける利用者は要介護状態であり、なんらかの疾患を抱えている方が多いため、病状を観察し安全にリハビリを実施する必要があります。

主に以下のようなことを実施します。

  • バイタルサインの確認(血圧・脈拍・呼吸・体温)
  • 酸素飽和度の測定
  • 疾患の病状に関する確認・観察・助言・予後予測など
  • 精神状態の確認・助言

機能訓練

機能訓練の目的は、日常生活を送るために必要な身体機能や基本的動作能力の獲得です。

身体機能の訓練には、関節可動域や柔軟性の改善・筋力の向上・麻痺の回復・バランス機能・嚥下機能(飲み込む機能)などの訓練があります。

基本的動作能力の訓練で行うのは、寝返り・起き上がり・立つ・座る・歩くなどです。

訪問リハビリは利用者の居住環境で行うため、ベッドで横になる以外に実際の動線や段差など、その方の個々の暮らしを作っている環境で行うとより効果的です

痛みの緩和

痛みによって動きにくかったり、活動量が減ったりしている方に対して行います。

マッサージやストレッチなどにより痛みの緩和が期待できます。

また、心理的リラックス効果や、運動・活動への動機付けにもなるでしょう。

日常生活動作の訓練

食事・着替え・排せつなどの基本的な日常生活動作の獲得や、家事・散歩・買い物・交通機関の利用など社会活動を営めるようにするための訓練です。

居住環境で実際の生活場面を想定して訓練できるため、具体的な指導ができ、利用者も目的を意識しやすいでしょう

福祉用具の導入や住宅改修のアドバイス

居住環境に福祉用具を導入したり、住宅改修のアドバイスをしたりすることで、より安全で動きやすく自立した生活の獲得を目指します。

通院・通所と比べて、実際の居住環境に福祉用具を導入するため、効果判定がすぐにできる点がメリットです

福祉用具専門相談員(福祉用具のレンタルや購入に関する資格者)や住宅改修業者などと連携し、最適な環境を提案してくれます。

認知・精神機能や高次脳機能に対する訓練

話す・覚える・判断する・考える・人と関わるなど、人間が知的・社会的な活動をしていく中で必要な機能に対しての関わりもあります。

認知症や精神疾患、脳血管疾患の後遺症などによって低下した脳の機能に対して、直接的に訓練するだけでなく、暮らしやすいように環境を整えたりサービスを調整したりもします。

家族への支援

在宅要介護者への対応に加え、家族への支援も重要な関わりです

自宅での介護状況や介護にかかる心身的疲労感の確認、利用者への介助指導や生活の注意点に関する説明や助言なども含まれます。

セラピストが訪問リハビリで関われる時間は限られているため、リハビリ以外の時間をどのように生活していくかが、心身機能を向上させる鍵になります。

家族から活動を促したり、適切な介助をしたりして協力してもらえるよう、家族へのさまざまな支援も大切といえるでしょう。

訪問リハビリのメリット

訪問リハビリのメリットについて解説します。

移動の手間がかからない

訪問リハビリは自宅で行えるため、利用者は外出する必要がありません。

通所リハビリや医療保険での外来リハビリでは、リハビリ提供施設までの移動が必要となるため、時間や手間がかかってしまうのがネックです。

病院での長い待ち時間がないため負担がほとんどなく、利用者はセラピストが訪問してくれるのを待っているだけでよいのです

個々の環境にあわせてできる

ふだん住んでいる環境で行うため、日常生活により関連したリハビリを受けられます。

トイレで排せつする練習を例にあげると、居室からトイレまでの移動や、トイレの中での動き、排せつ後の移動など行うことがたくさんあります。

これらを実際に住む環境で行えるため、利用者は動き方や注意点のイメージがしやすく、効果的といえるでしょう

個別のリハビリに専念できる

訪問リハビリでは、個別のリハビリに専念できる点もメリットといえます。

というのも、通所リハビリのように入浴や食事などの介護サービスがないからです。

通所リハビリでは、介護サービス以外に集団リハビリやレクリエーションなどがあります。大勢の中で活動することを好まない方や、個別でのリハビリのみ行いたい方には、訪問リハビリはぴったりです。

訪問リハビリのデメリットや注意点

訪問リハビリを受けるうえで、デメリットや注意点も知っておくとよいでしょう。

大きな機器が使えない

自宅には通所リハビリのように大型の機器や物品がないため、それらを用いたリハビリは行えません。

極端に狭かったり散らかったりしていると、歩行器や車椅子が使えないこともあるでしょう。

限られた環境の中でリハビリを受けるため、経験豊富でアイデアのあるセラピストが担当にならないと、十分な効果が期待できないこともあります。

プライベートな空間に他人が来る

プライベートな空間にセラピストが来るため、家族以外の方を招き入れることに抵抗感をもつ方には苦痛かもしれません。

また、担当のセラピストと相性が合わない場合もあるでしょう。

担当を変更してほしいと思っても言いづらく、がまんしてしまう方も中にはいるでしょう。

感染のリスクが考えられる

担当のセラピストは一日に何件も訪問するため、さまざまな感染源に触れている可能性があります。

次の利用者宅へ訪問するまでに手洗いや消毒など十分に行っているものの、中にはあまり衛生的によくないご家庭もあります。

感染のリスクをゼロにすることは難しいため、何らかの感染源を持ち込む可能性があることを知っておきましょう。

訪問リハビリと比較されるサービス

訪問リハビリとの違いがわかりにくく、どのようなリハビリを受けられるかわからない方もいるでしょう。よく比較されるサービスには以下のものがあります。

  • 訪問看護
  • 通所リハビリ

それでは違いを解説していきます。

訪問看護の内容

訪問リハビリでは「医療機関や老人保健施設」からの訪問ですが、訪問看護では「訪問看護ステーション」からとなります。

リハビリの内容については、訪問リハビリと訪問看護からのリハビリでは大きな違いがありません

しかし、訪問看護は日常のケアや体調管理を目的として看護師が関わっていく点が訪問リハビリとは異なります。ケアとはたとえば、清潔保持、食事・排泄の援助、体調管理には服薬に関する管理などがあります。

訪問看護の利用者はリハビリが目的であることに加え、医療依存度が比較的高い場合があります。

そのため、疾病の状態や体調の変化などに注意が必要で、看護師との連携がより必要になる方は訪問看護からのリハビリを利用するとよいでしょう。

通所リハビリの内容

訪問と通所ではリハビリする場所が異なるため、その内容も異なります。

通所リハビリでは施設に複数の利用者が集まるため、個別のリハビリだけでなく必要に応じて集団でのリハビリも行われます。

また、リハビリ機器・物理療法機器なども整備されているため、自宅では行いにくいマシントレーニングなどができる点で、訪問リハビリと差別化できるでしょう。

一方で、利用者個々の生活環境に合わせたリハビリは訪問リハビリの方が適しており、個別対応には限界があります

両者の使い分けとしては以下のようにするとよいでしょう。

  • 訪問リハビリ:体力の面で外出できない、個々の生活環境で1対1のリハビリを受けたい
  • 通所リハビリ:外出して集団でのリハビリや他者との交流も行いたい

訪問リハビリは自宅で自立した生活を送るために必要

本記事では訪問リハビリの内容について解説しました。

訪問リハビリは自宅で自立した生活を送っていくために必要なサービスです

訪問看護や通所リハビリなどのサービスと比較して訪問リハビリの必要性を感じた方は、担当のケアマネジャーや主治医にその旨を伝えてください。

一度受けてみて、ご自身に合わないと思えばやめることもできますので、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

すずや すずや 理学療法士/介護支援専門員/ライター

2008年 理学療法士免許取得。
老健で入所・通所・訪問リハビリに従事。
保有資格は介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級。
介護保険、地域包括ケアなどに興味関心あり。
介護未来マガジンでは、制度概要や資格に関する内容をわかりやすく執筆することを心がけている。

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