ショートステイの期間について解説!長く利用する方法や注意点も
「ショートステイの期間はどれくらい?」
「長く利用できる?」
「注意点も知りたい」
このようにお悩みの方もおられるでしょう。
短期的な利用が想定されるショートステイサービス。日数の規定が定められていますが、実は長期間利用することも可能です。
本記事ではショートステイの概要をお伝えしたうえで、期間に関する特徴や決まり、長期間利用する方法や注意点についても解説します。
そもそもショートステイとは?
ショートステイとは、施設へ短期的に入所し、日常生活のケアや機能訓練を行うために利用する介護保険のサービスです。
目的としては、利用者の心身機能の維持や介護者の心身の負担軽減などがあります。
超高齢社会のわが国では少子化、核家族化、老々介護などによって在宅介護の担い手が不足しています。
そのため、ショートステイは短期的な利用に限られているとはいえ、高齢者の生活を支えるために不可欠なサービスでといっても過言ではありません。
ショートステイの期間に関する特徴や決まり
そのように不可欠なサービスであるショートステイには、期間についての特徴やいくつかの決まりがありますので押さえておきましょう。
連続で利用できるのは30日まで
ショートステイの期間は連続で30日までとされています。
理由として、ショートステイは短期的な利用を想定されているサービスであるからです。
短期的な利用とは主に以下です。
- 介護者の急用(仕事や冠婚葬祭など)
- 介護者の休息(休暇や旅行など)
- 利用者の集中的なリハビリなど
これらの目的で利用することが想定されているため、連続で30日までが妥当であるといえます。
そのため、30日を超えてしまうと利用料金は全額自己負担となってしまいます。
利用日数が要介護認定有効期間の半分まで
利用日数が「要介護認定有効期間の半分まで」という決まりもあります。
要介護認定有効期間とは「今の要介護度がいつからいつまで有効か」を示している期間のことです。
介護保険被保険者証や居宅サービス計画書に記載されています。
たとえば、「令和5年8月1日から令和6年1月31日まで」といったように、利用者ごとに決まっています。
上記では有効期間が6ヶ月(180日)であるため、要介護認定有効期間の半分までということは、90日まで利用可能ということです。
施設によって期間の規定は変わらない
上記の「連続で利用できるのは30日まで」と「要介護認定有効期間の半分まで」の規定は、ショートステイのサービスを受ける施設がどこであっても適用されます。
すなわち「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「有料老人ホーム」など、どの施設でショートステイのサービスを受けても規定は同じです。
区分支給限度基準額内で利用
ショートステイは、区分支給限度基準額内での利用が原則です。
区分支給限度基準額とは、介護保険から給付されるサービスの上限額のことです。
利用者は、要介護度に応じて定められている限度額内で介護保険サービスを利用します。
以下は、要介護度別の区分支給限度基準額とショートステイ利用可能日数の目安です。
要介護度 | 区分支給限度額(単位) | 利用可能日数(日) |
要支援1 | 5,032 | 6 |
要支援2 | 10,531 | 11 |
要介護1 | 16,765 | 17 |
要介護2 | 19,705 | 20 |
要介護3 | 27,048 | 28 |
要介護4 | 30,938 | 30 |
要介護5 | 36,217 | 30 |
※1泊あたり1,000単位として算出
利用可能日数とは滞在日数のことをいいます。
上表でいえば、要支援1の方は滞在日数が6日(5泊6日)ということです。
ショートステイを長期間利用したい時はどうすればいい?
しかし、中にはショートステイを長期間利用したい方もおられます。
以下では、長期間利用するための方法を紹介します。
区分変更申請をかけて介護度を上げる
区分変更を申請し、要介護が高くなればショートステイの利用可能日数が増えます。
前述のとおり、区分支給限度基準額は要介護の高さに応じて増えるからです。
在宅での介護により手間がかかり、ショートステイのサービスがより多く必要な状態と認められれば、区分変更申請により介護度が高くなる可能性があります。
他の在宅サービスを減らす
ショートステイ以外のサービスを利用していると、支給限度基準額が別のサービスにも適用されるため、ショートステイにかけられる単位数が減ってしまいます。
そのため、他のサービスの量を減らせばその分支給限度基準額内でショートステイに費やせます。
ただし、必要なサービスを削ってまでショートステイを利用する必要があるかどうかは、検討が必要です。
自治体に申請し許可をとる
やむを得ない場合に限り、30日を超えて利用できる場合があります。
たとえば介護者が体調不良になり、一時的に在宅での介護ができなくなる場合です。
ただし、30日を超える必要性を記載した「理由届出書」を担当のケアマネジャーに作成してもらい、提出しなければなりません。
ショートステイ利用中にやむを得ない事情が想定される場合は、早めにケアマネジャーに相談しておくとよいでしょう。
一度退所してリセットする
一度退所し、家で過ごしてから再入所すればショートステイの連続利用日数はリセットされます。
ただし、退所した翌日の利用ではリセットできません。自宅で1泊しただけで入所すると実質連続で利用していることになってしまいます。
一度退所してリセットしたい場合は、2泊してから再びショートステイを利用しましょう。
ほかにも医療機関へのレスパイト入院(介護者の負担軽減のための入院)や、「お泊りデイサービス」といわれる通所介護で提供する宿泊サービスなどを利用する方法もあります。
31日目に自費利用をはさんでリセットする
連続30日まで介護保険の給付を受け、31日目に全額自己負担でサービスを受ける方法です。
これにより、32日目を1日目とカウントし、再び30日までの介護保険の給付を受けて連続利用が可能となります。
しかし、一日でも全額自己負担となる日があるため、支払う金額は多くなります。
ショートステイの期間に関する注意点
以下では、ショートステイの期間に関する注意点を解説します。
自費の部分により金銭的負担が増える
ショートステイは、区分支給限度基準額内で介護保険給付を受けられますが、利用者の負担には保険給付分以外に自費で支払う分があります。
たとえば食費、居住費(滞在費)などは介護保険の給付対象ではなく、利用日数が増えればその分大きく増えることになります。
本人の所得や世帯の課税状況などに応じて利用者の負担限度額が段階的に定められているため、金銭的負担が大きい場合は担当のケアマネジャーに相談してみましょう。
福祉用具を返却しなければならない場合がある
在宅で車椅子やベッドなどの福祉用具をレンタルしていても、ショートステイを利用する際に一度返却しなければならない場合があります。
ショートステイの料金には施設内にある福祉用具の費用が含まれているからです。
特に長期滞在においては、家で生活する期間がほとんどないことから、自宅で使う目的でレンタルしている福祉用具の必要性がないと判断されることがあります。
しかし、施設の備品と普段使っている福祉用具が異なり、ショートステイ先での生活に支障をきたすこともあります。
その場合、施設に持ち込みできることもあるため、事前に担当のケアマネジャーや管轄の市町村に確認をとっておきましょう。
長期滞在により生活保護停止になる場合がある
生活保護受給者もショートステイを利用できますが、長期滞在によって生活保護停止になる場合があります。
生活保護を受けている年金受給者は食費や居住費に対する軽減制度を利用できます。
しかし、軽減制度によって年金額よりもショートステイにかかる費用が少なくなると、生活保護の需給ができなくなってしまうリスクがあるのです。
月をまたいでも30日の原則は変わらない
連続30日までの規定は、月をまたいでも変わりません。
たとえば4月15日~5月14日までは滞在日数を30日とカウントし、翌日の5月15日まで滞在すれば、31日目となり連続30日を超えたことになってしまいます。
原則として30日を超えた利用はできません。
施設が別でも日数はカウントされる
日数のカウントは施設が別でも同様にカウントされます。
たとえばA施設で30日滞在し、そのまま別のB施設へショートステイ先を変えても、介護保険制度上同じショートステイのサービスを受けていることに変わりはありません。
やむを得ず期間を延ばしたい場合は相談を
本記事では、ショートステイの期間に関する概要と、長期滞在したい場合の方法や注意点を解説しました。
ショートステイはその名の通り短期的な利用が想定されるサービスであるため、長期滞在したい場合はやむを得ない理由が必要です。
まずは担当のケアマネジャーに確認してみるとよいでしょう。