
日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)
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ケアマネジャーは、介護サービスを調整する重要な役割をもった資格です。
介護事業所に勤務する方はケアマネジャーと関わる機会があるとはいえ、具体的な業務内容や資格の取得方法について知らないという方もいるでしょう。
そこで本記事では「ケアマネジャーになるには?」と疑問をもつ方へ向けて、ケアマネジャーの仕事内容と資格取得までの具体的なステップを解説します。

ケアマネジャーは、介護を必要とする方が介護サービスを受けられるよう、計画作成やサービス調整などをする仕事です。
高齢化の進む日本では、介護サービスをより充実させることが急務です。
ケアマネジャーは、高齢者が住み慣れた地域でその人らしく生きいきと暮らすことを手助けするべく「自立支援」の視点でさまざまな仕事をします。
おもには以下のような業務を担っています。
それでは見ていきましょう。
ケアマネジャーの仕事で代表的なものはケアプラン作成です。
居宅ケアマネジャーは35〜40人程度の利用者を担当し、そのすべての方にケアプランを作成します。
健康状態・生活機能・背景因子から利用者の抱える課題を抽出し、長期目標や短期目標を設定します。
目標や支援内容は利用者の数だけ多種多様なもの。そのため、適切なアセスメントスキルが求められます。
はじめは一筋縄ではいきませんが、利用者さんがより自立した生活を送れるよいプランが作成できると、大きなやりがいを感じられます。
介護サービス給付管理業務とは、以下のようなものです。
ケアマネジャーは、各事業所が提供したサービス実績を確認し「国民健康保険団体連合会(国保連)」に必要書類を提出します。
その後国保連から事業所にサービスに応じた費用が支払われます。
つまり、ケアマネジャーが国保連に書類を提出しないと、事業所への支払いがされないということ。
ケアプランどおりにサービスが提供されているか確認し、内容に不備がないようしっかりと確認しなければなりません。
利用者が適切にサービスを受けられているか確認する大切な業務といえます。
ケアマネジャーの行うサービス調整は多岐にわたります。
具体的には以下のようなものです。
サービス調整において大切なことは、利用者の自立支援をしっかりと見据えているかどうか。
〇〇ができないから××を提供するという安易な選択はせず、利用者自身のもつ強みや環境を最大限発揮できるようなサービスを選択します。その人が生きいきとじぶんらしく生活していく姿をイメージすることが大切です。
自立支援を促進していくためには、サービス事業所にも利用者の課題や目標を共有できるよう努める必要があります。そして多様な社会資源を把握し、活用していく姿が求められます。
サービス担当者会議とは、利用者とサービス事業者を交え「現状の把握と援助の方針を決める話し合い」の場をいいます。
ケアプランに位置付けたサービス事業所によるサービス提供の状況、利用中の様子、目標の達成状況を各所から聞き取り、残された課題を抽出します。
目標が達成されなければ、達成できるよう継続したサービスを提供することが結論となるでしょう。
一方で目標が達成されていれば、新たに利用者の意向から定めるべき目標の有無を検討します。そして必要に応じてサービス内容の変更や調整がされるのです。
担当者会議では関連職種やサービス事業者が一堂に会するため、広く濃い情報を得られます。支援の方向をよりよい方に向けるため、ケアマネジャーにとっての腕の見せ所でもあります。
ケアプランが交付されたあとは、プラン通りに介護サービスが提供されているか確認するのもケアマネージャーの重要な仕事です。
状況の確認は利用者宅を定期的に訪問して行います。
また、その際に相談・援助もあわせて行い、困りごとや新たな課題の把握に努めることが大切です。
訪問時に得られた情報は、必要に応じてサービス事業者と共有されます。
たとえば「導入した福祉用具の使い勝手があまり良くない」との訴えがあったとします。その際は、福祉用具事業所へその情報を伝え、用具の変更やメンテナンスの機会を調整することもあるのです。
訪問によって得られた情報は貴重なもの。より良いサービスにつながるよう状況を把握するヒアリング能力が求められます。
介護サービスを利用するためには、要介護認定を受ける必要があります。
認定を受けるためには要介護認定の申請をしなければなりません。利用者や家族が申請するものですが、ケアマネジャーによる申請の代行も可能です。
はじめて介護保険を利用したい方にとってはわからないことばかりです。
利用者や家族の不安に寄り添い、負担のないようにサポートするのもケアマネジャーの大切な役割といえます。
入退院や施設入所の支援もケアマネジャーの役割です。
入院により体の状態が変化すると、退院後に介護サービスが必要になるケースが少なくありません。
病院勤務の方では経験があると思いますが「退院前サービス調整会議」のような名称で、病院関係者と介護サービス事業者、ケアマネジャーが集まり、退院前に話し合いをした覚えはないでしょうか?
退院に向けた話し合いの後、退院後に利用するサービスについての打合せが行われます。その際中心になって話をすすめるのがケアマネジャーです。
また、すでに介護サービスを利用している方においては、状態変化や介護負担の軽減などを理由に施設入所が必要になることがあります。その際、老健や特養へ入所するための支援も行います。

それではケアマネジャーになるためには、どうすればいいのでしょうか?
ケアマネジャーへの道のりは以下3つのステップを順にすすめる必要があります。
それぞれ解説していきます。
ケアマネジャーになるには、「実務研修受講試験」を受けるために一定の実務経験を積む必要があります。
一定の実務経験の条件は以下のとおりです。
特定の国家資格とは以下のものです。
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、技師装具士、歯科衛生士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、管理栄養士(栄養士含む)、精神保健福祉士
相談援助業務とは、生活相談員、支援相談員、相談支援専門員、主任相談支援員があります。
実務経験の要件を満たせば受験資格が得られます。実務研修受講試験に合格するため試験勉強しましょう。
試験の概要は以下のとおりです。
実務経験者が受ける試験のため、誰もが働きながら勉強しなければなりません。業務と両立しながら勉強時間を確保する気持ちの強さが必要です。
少しずつでもいいので、コツコツと勉強していきましょう。普段の業務と関わりの深いところから勉強を広げていくと取りかかりやすいですよ。
試験に合格すれば、最後の実務研修が待っています。
実務研修のカリキュラムをすべて終え、テストに合格すれば晴れてケアマネジャーになれますよ。
カリキュラムは「講義」「演習」「実習」で構成され、合計で87時間あります。
主には以下のようなものがあります。
といった幅広く内容の濃いものになっています。
専門的知識や技術を修得するために必須ですので、がんばっていきましょう。
最後に行われるテストは、実務研修をしっかりと受けていればほぼ間違いなく合格できる難易度です。
リラックスしてのぞみましょう。
本記事では「ケアマネジャーになるには?」という疑問をもつ方へ向けて、ケアマネジャーの仕事内容と資格の取得方法について解説しました。
特定の資格と実務経験の要件を満たす必要があるため、まったくの未経験からケアマネジャーを目指す場合、取得までの期間は少々長いと思われます。
試験対策や実務研修にも時間がかかるため、決して楽な道のりではありません。
しかし、ご自身の業務にケアマネジャーの資格を活かすことで知見や仕事の幅は広がります。筆者はケアマネジャーの資格を取得したことで、介護認定審査会や地域ケア会議といった社外の業務にたずさわる機会が多くなりました。
また、スキルアップのみならず「働きながら資格を取得できた」という何物にも代えがたい喜びを得られます。
この記事を読んで、ケアマネジャーの資格取得に興味をもった方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょう。
2008年 理学療法士免許取得。
老健で入所・通所・訪問リハビリに従事。
保有資格は介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級。
介護保険、地域包括ケアなどに興味関心あり。
介護未来マガジンでは、制度概要や資格に関する内容をわかりやすく執筆することを心がけている。