介護業界において重要な自立支援の考え方とは?
介護業界において2018年の介護報酬改定から自助が提言されたように、「自立支援」の考え方が重要とされました。
では実際に介護業界において重要な自立支援とはどのようなものなのか、介護コネクティブで重要視している自立支援についても解説していきます。
介護報酬改定で国が提言した自立支援の考え方
厚生労働省が出した2018年の介護報酬改定において、自立支援の考え方が提示されました。
厚生労働省の推定計算では、2018年度の総人口は1億2,618万人なのに対し、後期高齢者の人口は1,800万人(14.3%)で医療費は39.2兆円、介護費は10.7兆円となっています。
さらには2040年度には総人口が1億1,092万人、後期高齢者の人口は2,239万人(20.2%)となり、医療費は68.3兆円、介護費は24.6兆円に達するとされています。
このデータから分かることは、総人口が徐々に減少するのに対して、後期高齢者の人口は増加し、それに伴い医療費や介護費が倍増しているということです。
何も対策をしないと、この状況がますます悪化していくことが予想されます。
国は、今後かかると予測される莫大な医療費と介護費への対策のために、自立支援の考えを提示したともいえるでしょう。
介護における「自立支援」とは
自立支援とは基本的に自分でできることはやってもらい、できないことを支えていくという考え方です。
これまでは介護に比重を置きすぎていたところもあり、利用者さんの介護への依存度が高まり、自立度が低下してしまうこともありました。
しかし、自立支援の考えで介護を提供していくことにより、介護予防にもつなげることができます。
そんな自立支援介護では、私たちが健康であるために必要な「4つの基本ケア」を推奨しています。
どれも欠けてはいけない大切な項目です。
その4項目を説明します。
水分ケア
高齢者が1日に必要な水分摂取量は、1,500ml以上が必要とされており、500mlのペットボトルだと3本分に値します。
しかし一度に大量に飲むのではなく、1日を通してこまめに水分補給をするのが理想的です。
また、高齢になると、のどの渇きをなかなか感じにくくなり、気づかないうちに脱水状態になるケースもあります。
体内の水分量が減ってしまわないように、介護者が水分補給を促してあげるようにしましょう。
栄養ケア
しっかりと食事を摂ることにより、栄養を摂取し、筋力を落とさないようにすることが大事です。
食事は、1日1,500kcal以上が目安です。そして、普通食をよく噛んで食べることにより、咀嚼に必要な筋肉が鍛えられます。
また、嚥下機能が低下するのを避け、飲み込むための筋力を維持するためにも食事は必要です。
運動ケア
自立した生活を送るためには、自分の力で歩くことが必要です。
そのため、定期的に運動し、歩く筋力を維持します。また、運動することによって食欲が促進される効果もあります。
自立支援介護における運動ケアでは、1日2kmの歩行が必要とされています。
そのため、介護の現場では、本人の状態に合わせて様子を見ながら運動に取り組んでいくといいでしょう。
排便ケア
排便ケアでは、3日以内の自然排便が目標です。高齢になると食事量や水分量、運動量が減る影響から、腸の働きが低下してしまうことが多く、便秘になりやすくなります。また、尿意や便意が感じにくい人もいます。
しかし、下剤を常用することは体の負担になりかねません。さらに、使用を続けた結果、自然排便から遠ざかってしまう恐れもあります。そのため、自然排便を促せるように、決まった時間にトイレに向かう習慣をつけ、こまめな水分補給や運動を行うと効果的です。
自立支援の考えをもとに介護コネクティブが実践していること
株式会社介護コネクティブでは、「自立支援型介護」を大事にし、活動しています。
活動の例を挙げると、介護福祉企業とヘルスケア企業がコラボし、デイサービスや高齢者住宅の現場でのプロテインの活用を実施しました。プロテインから摂れるタンパク質やその他の栄養を取ることにより、衰えがちな体をサポートしようという取り組みです。
また、介護福祉事業同士がコラボして、街に足りていなかった重度心身障害児の子どもたちが通うことができる放課後等デイサービスを立ち上げました。地域の方の声を拾い、必要とされている環境を提供しようと取り組んでいます。
これからも、自立支援に基づき、地域の子どもから高齢者まで幅広い年齢層が、生き生きと元気に暮らしていけるような取り組みを増やしていきたいと考えています。
今後は自立支援の考え方がベースの介護になる
2018年の介護報酬改定で提言された「自立支援」の考え方は、これからの介護において基礎となる考え方になっていくでしょう。
今まであまり健康について考えてこなかった高齢者もいるかもしれませんが、4つの基本ケアを意識することで、日々の運動や食事を意識する習慣ができてくるのではないでしょうか。
体の機能回復よりも、機能維持こそが、自分らしく生きる上で必要な考え方です。自立支援の考え方をもとに、一人一人が健康を意識した生活を送れるようになることが理想です。