リハビリ型デイサービスを開業する流れを解説
「リハビリ型デイサービスを開業する手順を知りたい」
「リハビリ型デイサービスを開業するメリットは?」
リハビリ型デイサービスを開業したい方は、このような疑問を持っているのではないでしょうか?開業手順は一般的なデイサービスと同じですが、一般的なデイサービスよりも設備費や人件費が大きくなる傾向があります。今回は、開業する流れを解説しつつ、開業する際に注意するべきこともご紹介します。ぜひ最後までお読みください。
リハビリ型デイサービス開業の流れ
リハビリ型デイサービスとは、機能訓練を提供することに特化したデイサービスのことです。開業の流れは一般的なデイサービスと全く同じです。
- 法人の設立
- 開業場所を決定
- 建物、設備の準備
- 人員確保
- 通所介護事業者の指定申請
リハビリ型デイサービスを開業する上で重要なポイントは設備と人員配置です。一般的な流れは、法人を設立し、開業する場所を選んで設備を整えつつ、人材を募集していく流れです。
リハビリ型デイサービスでは、機能訓練指導員を確保できないことが原因で開業まで時間がかかる場合もあります。できるだけ早めに募集を行って、人材確保をスムーズに終わらせましょう。設備と人員が基準を満たしたら、指定申請を提出し、都道府県や市区町村から指定を受けると開業できます。
リハビリ型デイサービス開業に必要な設備
リハビリ型デイサービスを開業するために必要な設備基準は以下の通りです。
設備 | 基準 |
---|---|
食堂、機能訓練を行う場所 | 必要な面積を有するもの。合計した面積が利用定員×3㎡以上 |
相談室 | 相談の内容が漏えいしないように工夫されている空間 |
参考)第141回 介護給付費分科会「通所介護および療養通所介護(参考資料)」
上記以外に、静養室、事務室、浴室を設置するとよいでしょう。また、多くのリハビリ型デイサービスでマシントレーニング機器などのリハビリ機器を導入します。訓練内容を充実させるため、機能訓練スペースを広く取る傾向があります。
リハビリ型デイサービス開業に必要な人員
リハビリ型デイサービス開業に必要な人員配置基準は以下の通りです。
必要人員 | 配置基準 |
---|---|
管理者 | 兼業可、1施設1人配置 |
生活相談員 | サービス提供時間中は専従1名以上 |
介護職員 | 利用者15名以下は1名以上。16名以上なら「(利用者数-15)÷5+1」名以上配置 |
看護師 | 基本は専従1名以上。ただし、常に連携できる状態なら配置されているものとする。 |
機能訓練指導員 | 1名以上配置。加算の種類によって配置人員が異なる。 |
参考)第141回 介護給付費分科会「通所介護および療養通所介護(参考資料)」
リハビリ型デイサービスの場合、一般的なデイサービスよりも機能訓練指導員を手厚く配置する必要があります。個別機能訓練加算Ⅰや個別機能訓練加算Ⅱを算定している場合が多いので、算定する加算に応じて機能訓練指導員を配置する必要があるでしょう。
リハビリ型デイサービスと個別機能訓練加算
ほぼ全てのリハビリ型デイサービスで、個別機能訓練加算を算定しています。個別機能訓練加算とは、利用者さんに対して計画書を作成し、機能訓練を実施することで算定する加算です。個別機能訓練加算の算定基準に関しては以下の通りです。
加算 | 算定要件 |
---|---|
個別機能訓練加算Ⅰ (イ)(ロ) | ・機能訓練指導員が利用者さんの自宅を訪問年し、個別機能訓練計画書を作成 ・身体機能及び生活機能の向上を目的とした訓練を行う ・5人程度以下の小集団又は個別・個別機能訓練指導員が直接実施 ・3ヶ月に1回以上評価を実施・専従1名以上の個別機能訓練指導員配置 イ……配置時間の定めなし ロ……サービス提供時間を通じて配置 |
個別機能訓練加算Ⅱ | 個別機能訓練加算Ⅰの要件を満たし、LIFEへデータ提出を行っている |
参考)第199回 介護給付費分科会「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
個別機能訓練加算を算定する機能訓練指導員となるスタッフには要件があります。機能訓練指導員の対象となる資格は、以下のとおりです。
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
- 看護職員
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師、きゅう師(*一定の実務経験を有する)
リハビリ型デイサービス開業の費用
リハビリ型デイサービスの開業費用は、事業所ごとに大きく異なります。施設を建築するのか、賃貸物件で開業するのか、という点で費用面に大きな影響を与えるでしょう。賃貸物件で開業する場合の一般的な相場を以下に記載します。
- 【物件の初期費用】100万円〜300万円
- 【内装工事費用】200万円以上
- 【人材確保】50万円〜100万円
- 【備品購入】200万円〜300万円
- 【車両費】200万円〜400万円
訓練に必要な医療機器や物理療法機器などを購入する必要があるため、一般的なデイサービスと比較して備品購入費が大きくなる傾向があります。また、医療メーカーによっても価格帯が異なるため、購入機材が高ければ高いほど開業資金が大きくなるでしょう。
リハビリ型デイサービス開業のメリット
リハビリ型デイサービスを開業するメリットは以下の通りです。
- 事業所の特性を理解してもらいやすい
- 個別機能訓練加算が算定できる
- 利用者さんが長く利用してくれる
リハビリ型デイサービスは利用者さんにもケアマネージャーさんにも、事業所の特性を理解してもらいやすい傾向があります。利用者さんの身体機能を向上させることを目的としているので、利用者さんは健康的に長く在宅生活を送れます。1人の利用者さんに長く通ってもらえるので、事業所の運営も安定しやすいでしょう。
リハビリ型デイサービス開業のデメリット
リハビリ型デイサービス開業のデメリットは以下の通りです。
- 人材の確保が難しい
- 医療機器の費用が大きくなる
- 要介護度の低い方が多く利用する
リハビリ型デイサービスでは、機能訓練指導員を多く配置する必要があります。理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職の人材を確保するため、多くの費用と時間が必要になる可能性もあるでしょう。
ただし、厚労省が出している「第3回理学療法士・作業療法士受給分科会」の資料によると、理学療法士と作業療法士の数は今後も増加傾向です。将来的には人材を確保しやすくなる可能性が高いでしょう。
参考)医療従事者の受給に関する検討会「第3回 理学療法士・作業療法士受給分科会」
リハビリ型デイサービスの将来性
政府は今後予測される少子高齢化に対して、地域包括ケアシステムの構築を推進しています。地域包括ケアシステムとは、地域に暮らす高齢者が可能な限り在宅で生活し続けるためのシステムです。
リハビリ型デイサービスは、地域包括ケアシステムにおいて重要な役割を持っています。高齢者の要介護度を改善し、在宅生活を支援していくデイサービスであれば将来的に需要が高まる可能性が高いでしょう。
今後のリハビリ型デイサービスに求められていること
今回は、リハビリ型デイサービスを開業する流れについて解説しました。法人の設立から指定申請まで、5つのステップで開業できます。リハビリ設備を整え、リハビリ専門職を多く配置する必要があるため、開業費用が大きくなる傾向があるので注意しましょう。
今後、地域包括ケアシステムが推進されていく中で、リハビリ型デイサービスの需要が高まる可能性は高いでしょう。地域で活躍できる施設であり続けるように、準備を整えて開業することをおすすめします。