デイサービスの稼働率の一般的な計算方法を解説します!
デイサービスの経営において稼働率は重要です。
「デイサービスの稼働率の計算方法を知りたい」
「稼働率をどう分析すれば良いのかわからない」
このようなお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。稼働率を計算しただけでは意味がありません。稼働率の増減に対して、原因を分析し対策していくことに意味があります。今回は、デイサービスにおける稼働率の計算方法と、稼働率を経営に生かす方法について解説します。
デイサービスの稼働率を計算する意義とは
デイサービスの経営を安定させる上で稼働率は重要です。稼働率が高いほどデイサービスの経営は安定しやすく、稼働率が低いと収益が安定しにくいでしょう。また、利用者さんの満足度がそのまま稼働率に反映されます。満足度の低いデイサービスは稼働率も下がり、満足度の高いデイサービスは稼働率も上がるでしょう。稼働率は、デイサービスを経営していくうえで重要な指標の一つです。
デイサービスの稼働率を計算する方法
デイサービスの稼働率は以下の式で計算できます。
稼働率 = 1カ月の延べ利用者数 ÷ (営業日数 × 1日の利用定員 )
稼働率とは、利用定員に対して何人の方が実際に利用したかを示す数値です。1ヶ月の延べ利用者数とは、実際に来た利用者の数です。例えば、1ヶ月の利用予定人数が100人でしたが急に利用者さんが休んだことで、実際には80名くらいしか利用しなかったとします。この場合は、延べ利用者数80名です。予定などは関係なく、特定の期間中に実際に利用した人数のことを延べ利用者数といいます。
デイサービス稼働率の全国平均値は
デイサービスの全国平均値は、以下の表の通りです。
指標 | 地域密着型 | 通常規模型 | 大規模型(Ⅰ) | 大規模型(Ⅱ) |
利用率 | 73.5% | 68.4% | 74.7% | 74.7% |
引用)福祉医療機構「2021年度(令和3年度)通所介護経営状況について」
福祉医療機構「2021年度(令和3年度)通所介護経営状況について」によると、通常規模型の稼働率が低く、68.4%となっています。1番稼働率が高いデイサービスは大規模型で74.7%なので、通常規模型と約5%も差があります。同資料では、通常規模型は別な施設に併設している場合が多いことが要因と分析されていました。いずれにしても68%〜74%くらいが全国の平均値であるといえるでしょう。
デイサービスの経営が安定する稼働率は80%
デイサービス稼働率の平均値は約7割程度なので、最低でも稼働率70%以上を保持し続けると良いでしょう。更に経営を安定させたいのであれば、稼働率80%以上を目指しましょう。80%以上を保持することで、少しくらい利用者が休んでも経営に大きく影響することはありません。しかし、逆に稼働率70%を割り込んだ場合、早急に対策を立てて稼働率を上げましょう。
デイサービスの稼働率が低い原因を分析する
デイサービスの稼働率が低い場合には、その原因を分析しましょう。例えば、利用者の減少、競合他社の増加、サービス内容の不足などが挙げられます。考えられる原因について解説します。
利用者の減少
デイサービスの利用者が減少することで稼働率が低下します。もし利用者数が減少しているのであれば、利用者数が減少する原因について分析しましょう。既存の利用者の満足度が低い、体調不良者が多い、複数の原因が考えられます。考えられる原因に応じて、イベントの数を増やす、体調管理シートを導入するなどの対策を立てましょう。
競合他社の増加
周囲のデイサービスに利用者さんが移行している可能性もあります。周囲のデイサービスの状況もチェックしておきましょう。もし、他社のデイサービスへ利用者さんが移行しているのであれば、自社の独自性を強化してアピールしていきましょう。
サービス内容の不足
デイサービスの内容に対して不満を持っている利用者さんがいないか確認しましょう。デイサービスへ行く必要性を感じなくなると、休みがちな利用者さんが増加します。デイサービスのサービス内容を充実させることはもちろんですが、ポイントカードを作る、デイサービス内での役割を持ってもらう、などの工夫も効果的です。
デイサービスの稼働率と一緒に計算すべき数値
デイサービスの経営状況は稼働率だけでは測れません。他の数値も計算して経営状況を把握しましょう。例えば、以下の数値も計算しておくと経営状況を把握しやすいでしょう。
- 利用者1人あたりの単価
- 利用者1人あたりの利用回数
- 損益分岐点
- 登録者の介護度割合
- 居宅ごとの利用者数
それぞれの数値について解説します。
利用者1人あたりの単価や利用回数
利用者1人あたりの単価や利用回数を把握しておくことで、経営状況を改善するときの目標を立てやすくなります。例えば、利用者1人あたりの単価が2万円で、月の売り上げを50万円増加させたい場合、登録利用者数を25人増やす必要があるでしょう。また、平均利用回数3回だったデイサービスが、平均利用回数1回に下がった場合、平均利用回数を3回に上げる工夫をする必要があるかもしれません。
損益分岐点
デイサービスの稼働率は、売り上げに直結する数値です。しかし、売り上げ金だけ増加させれば経営状況が改善する訳ではありません。支出も管理する必要があるでしょう。損益分岐点とは、売り上げが支出を上回るギリギリのラインのことを指します。仮に稼働率が80%以上だったとしても、損益分岐点が売上の90%だった場合はギリギリの状態だといえます。損益分岐点も測定しておき、収支の管理をしていきましょう。
登録者の介護度割合
デイサービスの利用者さんの要介護度を把握しておきましょう。要介護度の低い利用者さんが多い場合、利用者1人あたりの単価が低くなります。一方で、要介護度の高い利用者さんが多いと、利用者1人あたりの単価が高くなるでしょう。利用者さんの傾向をつかむ上で知っておくべき数値です。
居宅ごとの利用者数
どこの居宅介護支援事業所からの紹介が多いのか把握しておくと、戦略を立てやすくなります。たくさん紹介してくれる居宅介護支援事業所は、新しい利用者さんも紹介してくれる可能性が高いでしょう。新規の居宅介護支援事業所へアピールしていく活動も重要ですが、多くの利用者さんを紹介してくれるケアマネージャーと信頼関係を構築しておくと、安定して新規利用者を獲得できます。
デイサービスの稼働率をどう生かすかが大事
デイサービスの稼働率は、延べ利用者数と利用定員で計算できます。デイサービスの稼働率を把握しておくことは重要ですが、計算した稼働率をどう生かすかが重要です。稼働率が変化した要因を分析して、対策を立てましょう。また、稼働率だけでなく、複数の指標を測定し、総合的に経営状況を判断できるとよいでしょう。