デイサービスが赤字にならないための稼働率とは?
「デイサービスの稼働率ってなに?」
「赤字にならないデイサービスを作りたい」
このような意見を持っている経営者も多いでしょう。デイサービスの経営において、稼働率は重要な指標です。安定してデイサービスを経営するには、稼働率を含めた複数の指標を常に把握しておくことが重要です。
今回は、デイサービスにおける稼働率について解説し、稼働率を上げる方法について紹介します。ぜひ最後までお読みください。
赤字のデイサービスが増加
令和4年3月に福祉医療機構が提出したレポート「2020年度(令和2年度)通所介護の経営状況について」において、令和2年度の時点で41.9%のデイサービスが赤字というデータが出されていました。
2019年と比較して3.9%も赤字事業所が増加しており、コロナウイルス蔓延の影響を直接受けたことが原因のひとつと考えられます。しかし、通所介護施設ごとで結果に差があり、2019年よりも利用率が上昇した施設もあったようです。事業所ごとに差が生まれた要因として、以下のように記載されています。
周辺の通所介護の休業等の要因もあったかもしれないが、利用者を確保する取り組みを積極的に行った効果もあるだろう
引用)福祉医療機構「2020年度(令和2年度)通所介護の経営状況について」
不測の事態でも安定して経営できるデイサービスであるには、利用者さんを確保し続ける取り組みが重要です。つまり、リハビリ特化型デイサービスの稼働率が、安定した経営の鍵になるといってもよいでしょう。
参考)福祉医療機構「2020年度(令和2年度)通所介護の経営状況について」
赤字にならないデイサービスの理想的な稼働率
稼働率とは利用定員に対してどれだけの割合の利用者さんが利用しているか示した数値です。デイサービスにおける理想的な稼働率は80%以上だとされています。
日常的に80%以上の利用者さんが利用していれば、万が一のトラブルが発生しても赤字になりにくいでしょう。しかし、デイサービス管理者が確認しておくべき数値は稼働率だけではありません。
稼働率と合わせて、損益分岐点や、利用者1人あたりの単価などの数値も確認しておきましょう。複数の数値を確認しておくことで、デイサービスの経営状況を正確に把握でき、早めに対策を立てられます。
デイサービスの稼働率を上げる方法
デイサービスの稼働率を上げるには複数の方法があります。しかし、何か一つの対策に取り組めば大丈夫、というものではありません。複数の対策を組み合わせることで、稼働率を上げることができるでしょう。以下にデイサービスの稼働率を上げる方法をご紹介します。
利用者さんを増やす
新規利用者を獲得できれば、デイサービスの稼働率は上昇するでしょう。
例えば、月に5人の利用者さんが利用停止となった場合でも、新たに5人の新規利用者が入れば稼働率に大きな影響はありません。しかし、新規利用者が全く増えないと、利用者数が減ったままなので、自然と稼働率は下がります。
常に新規利用者を獲得できるように、積極的に情報発信を行い多事業所や地域住民との信頼関係を作り上げておきましょう。
利用頻度を上げる
稼働率を上昇させるには、利用者一人当たりの利用頻度も大きく関わっています。
例えば、A施設とB施設にそれぞれ10人の利用者さんがいたとしましょう。A施設では利用者1人あたり週1回利用、B施設では利用者1人あたり週3回利用しているとします。どちらの稼働率が高いと思いますか?
もちろん、B施設の稼働率が高いですよね。
利用回数を増やした方が良いと思える利用者さんがいる場合、利用頻度を上げるように提案することで稼働率も上昇するでしょう。
欠席対策をする
利用者さんの欠席対策も重要です。
欠席する利用者さんが多い状況は経営的には1番良くない状況です。欠席するということは、その利用者さんの席が残った状態なので、新たに新規利用者を増やすこともできません。利用者さんを増やすこともできずに実績は下がり続ける、という悪循環に陥ります。
利用者さんが欠席した場合、できるだけ振り返り利用をおすすめする、欠席しないようにポイントカード制度を導入する、などの工夫で欠席対策をしましょう。
利用者さんの満足度を上げる
リハビリ特化型デイサービスを経営する上で当たり前のことですが、利用者さんの満足度を向上させる取り組みは重要です。
満足度が向上すれば、利用者さんは休みにくくなります。また、知人を紹介してくれることもあるでしょう。
稼働率を上げようとすると、新規利用者の獲得ばかりを考えてしまいます。しかし、既存の利用者さんへのサービスの質を高めることで、欠席防止や新規獲得の効果があることも忘れないようにしましょう。
デイサービスと稼働率と赤字の関係性
デイサービスの経営を安定させるためには、損益分岐点と稼働率を定期的に確認しましょう。
損益分岐点とは、売り上げが経費を上回る数値のことです。損益分岐点は経費の50%以下に抑えるほうがよいとされています。稼働率80%以上、損益分岐点50%以下でリハビリ特化型デイサービスを経営できれば、安定して経営できるでしょう。
稼働率ばかりが気になる経営者もいらっしゃいます。しかし、稼働率ばかり気にしていると、損益分岐点が高くなっていることに気づけないかもしれません。
赤字経営を避けるために稼働率80%以上を維持し続けることも重要ですが、損益分岐点や利用者一人当たりの単価など、総合的にデイサービスの経営状況を把握できるとよいでしょう。
デイサービス稼働率が下がった時の対策
デイサービスの稼働率が下がった時には、まず原因の分析をしましょう。
利用者さんの登録数が減って稼働率が下がっているのか、利用者さんの休みが多くて稼働率が下がっているのか、原因によって取るべき対策が異なります。
利用停止の方が増えているのであれば、利用者満足度の改善が重要でしょう。また、利用者さんの欠席率が高いのであれば、欠席しにくい取り組みを増やすことが重要になります。
さまざまな要因で稼働率が下がります。稼働率が低下している原因に応じて対策を立てましょう。
赤字にならないデイサービスを目指す
デイサービスは自宅で生活している利用者さんへサービス提供する施設です。
自宅で生活できているからこそ、ちょっとした要因で利用しなくなる可能性があります。デイサービスの稼働率が直接経営に響くので、稼働率や損益分岐点などの数値を常に測定し、数値の悪化に合わせて早めに対策を立てて対応することが望まれます。
理想的な稼働率は80%以上ですが、急に稼働率をあげようと思ってもうまくいきません。常に稼働率などを意識して対策を立てていくことが、赤字にならないデイサービスを作るポイントです。