デイサービスで算定できる加算の種類について解説
「デイサービスで算定できる加算にはどんな種類があるの?」
「各加算の算定要件について知りたい」
デイサービスの加算について悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。今回はデイサービスで算定できる加算の種類を紹介しつつ、各加算の要件について概要をまとめました。自事業所で算定する加算をご検討の際にお役立てください。
口腔機能向上加算
口腔機能向上加算(Ⅰ)は、口腔機能の低下している利用者さんを対象に、要介護状態への重度化防止や要支援状態からの改善を目指したサービスを提供する場合に算定できます。
口腔機能向上加算(Ⅱ)は、口腔機能向上加算(Ⅰ)の取り組みに加え、利用者さんごとの口腔機能改善管理指導計画等の情報を厚生労働省(LIFE)に提出し、その情報を活用して口腔機能向上サービスを実施することが要件です。単位数は以下のとおりです。
口腔機能向上加算(Ⅰ)……150単位/回
口腔機能向上加算(Ⅱ)……160単位/回
個別機能訓練加算
個別機能訓練加算(Ⅰ)は、機能訓練指導員が身体機能及び生活機能の向上を目的とした訓練を直接実施した場合に算定できる加算です。訓練は5人程度以下の小集団または個別で提供され、3カ月ごとに1回以上評価する必要があります。
個別機能訓練加算(Ⅱ)は個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定した事業所が科学的介護情報システム「LIFE」を活用し、利用者さんの状態に応じた個別機能訓練計画のPDCAサイクルを運用することで算定可能です。
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ……56単位/日
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ……85単位/日
個別機能訓練加算(Ⅱ)……20単位/月
運動器機能向上加算
運動器の機能向上が必要と考えられる要支援者を対象とした介護予防サービスを提供した場合に算定できます。機能訓練は、心身機能、活動、参加といった生活機能の維持・向上を目指して行われます。詳細な要件は自治体によって異なるため、市区町村役場の窓口へ問い合わせましょう。
運動器機能向上加算……225単位/月
科学的介護推進体制加算
利用者さんのデータを科学的介護情報システム「LIFE」へ提出することで算定できる加算です。
フィードバックを受けて事業所の特性やケアの在り方を検証し、利用者さんのケアプランや計画への反映(フィードバックの活用)、PDCAサイクルの推進、化学的根拠に基づいたケアサービスの提供を目的としています。
科学的介護推進体制加算……40単位/月
ADL維持等加算
ADL維持等加算は、一定期間(評価対象利用期間)の中でADLの維持または改善の度合いが一定の水準を超えている事業所を評価するアウトカム評価加算です。
算定要件を満たした場合、事業所の利用者さん全員が算定対象となります。算定するには、利用者さんのADL値の測定とその結果の厚生労働省(LIFE)へ提出、ADL利得(調整済ADL利得)の上位および下位それぞれ1割の者を除く評価対象利用者さんのADL利得の平均値1以上もしくは2以上である必要があります。
ADL維持等加算(Ⅰ)……30単位/月
ADL維持等加算(Ⅱ)……60単位/月
栄養スクリーニング加算
栄養スクリーニング加算は、利用者さんの口腔機能低下を早期に確認し、適切な管理等を行うことで算定できる加算です。
具体的な要件として、事業所の従業者が利用開始時及び利用中6ヵ月ごとに利用者さんの口腔の健康状態及び栄養状態について確認を行い、その情報を利用者さんの担当ケアマネジャーに提供する必要があります。また、口腔・栄養スクリーニング加算は、栄養アセスメント加算、栄養改善加算及び口腔機能向上加算との併算定ができません。
栄養スクリーニング加算……5単位/回
栄養改善加算
栄養改善加算は、低栄養状態の恐れがある利用者さんに対して栄養相談等の栄養管理を行い、低栄養状態の改善のためサービスを提供した際に算定できます。
利用者ごとに作成される栄養ケア計画に基づいて実施される必要があり、管理栄養士1名以上の配置、もしくは外部の管理栄養士によって実施されなければいけません。
サービス対象者は、BMIが18.5未満、1~6月間で3%以上の体重減少、血清アルブミン値が3.5g/dl以下、食事摂取量が不良(75%以下)、その他低栄養状態またはその恐れがある者などが含まれます。
栄養改善加算……150単位/回
栄養アセスメント加算
栄養アセスメント加算は、管理栄養士と介護職員等の連携による栄養アセスメントの取り組みを評価する加算です。
利用者さんの体重を1か月ごとに測定し、利用者ごとに栄養アセスメントを3か月に1回以上実施しなければいけません。また、アセスメント結果を利用者さんやその家族に説明し、必要に応じて栄養管理上の課題に応じた栄養食事相談、情報提供等を行うことも要件となっています。
栄養アセスメント加算……50単位/月
認知症加算
認知症加算は、介護を必要とする認知症の利用者さんに対して通所介護サービス等の提供を行うことで算定できる加算です。
算定要件としては、認知症利用者の割合が20%以上、看護職員または介護職員を常勤換算で2名以上確保、認知症介護実践者研修等を修了した者を1名以上配置、認知症の進行緩和に資するケアを計画的に実施するプログラムを作成、などがあります。
認知症加算……60単位/日
若年性認知症利用者受入加算
事業所が若年性認知症患者の利用者さんを受け入れ、個別に担当スタッフを定め、そのスタッフが利用者さんのニーズに応じたサービスを提供した場合に算定できるのが若年生認知症利用者受入加算です。
若年性認知症とは、40歳~64歳に発症した認知症の総称で、若年性認知症の利用者さんに対して個別に担当者を定め、その担当者を中心に利用者さんのニーズに応じたサービスを提供することが算定要件です。また、若年性認知症利用者受入加算と認知症加算は併算定ができません。
若年性認知症利用者受入加算……60単位/日
延長加算
延長加算は、所要時間7時間以上9時間未満の通所介護の前後に連続して日常生活上の世話を行った場合に算定可能です。また、延長加算の時間帯は、人員基準上の提供時間帯に該当しないため、複数の単位の利用者さんを同一の職員が対応することも可能です。
延長加算(9時間以上10時間未満)……50単位/日
延長加算(10時間以上11時間未満)……100単位/日
延長加算(11時間以上12時間未満)……150単位/日
延長加算(12時間以上13時間未満)……200単位/日
延長加算(13時間以上14時間未満)……250単位/日
入浴介助加算
入浴介助加算(Ⅰ)は、入浴中の利用者さんの観察を含む介助を行う場合に算定できます。「観察」は、利用者さんの自立生活支援や日常生活動作能力などの向上のための「見守り的援助」も指します。
入浴浴介助加算(Ⅱ)は、専門職等が利用者さんの居宅を訪問し、浴室における利用者さんの動作・浴室の環境を評価、個別計画を作成することで算定できます。入浴支援計画は利用者さんの自立を目指して策定しなければいけません。
入浴介助加算(Ⅰ)……40単位/日
入浴介助加算(Ⅱ)……55単位/日
中重度ケア体制加算
中重度ケア体制加算とは、中重度の要介護者を受け入れる体制を構築し、指定通所介護を行った場合に算定できる加算です。
算定要件としては、看護職員または介護職員を常勤換算方法で2以上確保し、要介護状態区分が要介護3以上の利用者さんの占める割合が30%以上であることなどが含まれます。また、認知症加算の算定要件も満たす場合は、中重度ケア体制加算の算定とともに認知症加算の算定も可能です。
中重度ケア体制加算……45単位/日
サービス提供体制強化加算
介護福祉士の配置を特に強化して基準を満たし、届け出を行っている介護事業所に対して算定されます。介護職員に占める介護福祉士の割合で(Ⅰ)〜(Ⅲ)の算定が可能です。
加算の要件に合致しているか毎年度確認しなければいけません。新たな加算を算定する場合や算定区分が変更になる場合は届け出が必要なので注意しましょう。
サービス提供体制強化加算(Ⅰ)……22単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅱ)……18単位/回
サービス提供体制強化加算(Ⅲ)……6単位/回
生活機能向上連携加算
生活機能向上連携加算とは、リハビリテーションを行う医療機関等の理学療法士等が共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成することで算定できる加算です。
算定するためには、医療提供施設の理学療法士等からの助言を受け、機能訓練指導員等が共同してアセスメントを実施し、個別機能訓練計画を作成しなければいけません。また、令和3年度の介護報酬改定により、ICTを活用した生活機能向上連携加算の算定が可能となりました。
生活機能向上連携加算(Ⅰ)……100単位/月
生活機能向上連携加算(Ⅱ)……200単位/月
まとめ
今回はデイサービスで算定できる加算一覧について紹介しました。各加算の内容について解説しています。事業所で算定する加算を検討する際にお役立てください。また、2024年には介護報酬改定を控えています。改定の内容によっては、算定要件等の変更があるかもしれません。次回の介護報酬改定に関する最新情報に注意しつつ、算定の準備を進めるとよいでしょう。