デイサービスの立ち上げ方を10ステップでわかりやすく解説
「デイサービスの立ち上げ方について詳しく知りたい」
「デイサービスの立ち上げ方をわかりやすく解説してほしい」
このような悩みを持っている経営者も多いのではないでしょうか。もっとわかりやすくデイサービスの立ち上げ方を解説してほしい方も多いはずです。
今回は、デイサービスを立ち上げる方法を10ステップに分けてわかりやすく解説します。この記事を読むことで、デイサービスの立ち上げ方や注意点が深く理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
デイサービス立ち上げに必要な条件
デイサービスを立ち上げるためには、施設(設備)、スタッフ、資金という3つの要素が必要です。各要素について解説します。
施設(設備)
デイサービスを開業する上で、必要なのはデイサービスを運営する建物や設備です。デイサービスとして運営していくためには、各都道府県からの事業所指定を受けなければいけません。事業所指定を受ける条件として、以下のような設備基準が示されています。
設備 | 基準 |
食堂、機能訓練室 | 合計面積が1人あたり3㎡以上。食堂と機能訓練室は兼用可。 |
相談室 | プライバシーを守れるように個室かパーテションで区切る。 |
事務室 | 個人情報保護のため仕切られた空間にする。書庫を設置する。 |
静養室 | 専用ベッドを設置。プライバシー保護のためカーテン等で仕切る。 |
トイレ | 車いすでも利用できるトイレを設置する。 |
浴室 | 入浴支援を行う場合は必須。 |
送迎車 | 送迎をする場合は必要。 |
備品 | 緊急時呼び出しボタンや、リハビリ機器など。 |
スタッフ
デイサービスを運営するためには人員機銃を満たす必要があります。デイサービスに配置すべき人員は以下のとおりです。
- 管理者
- 生活相談員
- 看護職員
- 介護職員
- 機能訓練指導員
デイサービスでは、利用者の数や算定する加算によって、必要な人員配置基準が定められています。必要な人数だけ上記のスタッフを配置できなければ、デイサービスを運営できません。
資金
デイサービスを立ち上げたとしても、すぐに利用者が集まる可能性は低いでしょう。デイサービス立ち上げ当初の利用者さんが少ない期間でも、家賃や人件費は発生します。
デイサービス経営が軌道に乗るまでの期間に必要なランニングコストは、事前に準備しておかなければいけません。また、立ち上げに際して、工事費用や車両費など多額の資金が必要になります。綿密な資金繰り計画を立てなければ、デイサービスの立ち上げは成功しないでしょう。
デイサービスの立ち上げ方を10ステップで解説
デイサービスの立ち上げに必要な3つの要素を揃えるために、具体的な立ち上げの準備を始めます。デイサービス立ち上げに必要な手順は、以下の10ステップです。
- デイサービス事業の方向性を決める
- 物件を決める
- 設計建築・内装工事の準備
- 事業計画書を作成する
- 株式会社・NPO法人等の設立
- 指定機関と事前協議
- スタッフを募集する
- 通所介護事業者の指定申請
- 開業前の環境作り
- 開業
実際に準備を進めていくと複数の手順を同時進行する場合もありますが、基本的には上記の手順で進めていくことをイメージしておきましょう。各手順について解説していきます。
1、デイサービス事業の方向性を決める
最初にデイサービスの方向性を決めます。特に「なぜデイサービスをしたいのか?なぜこの場所で、このタイミングで始めるべきなのか?」という内容を考えていなければいけません。
開業予定地周辺の施設の調査、周辺地域の人口、ターゲットのニーズ調査などを行っておくと、デイサービスの立ち位置を決めやすくなるでしょう。この時点でデイサービスの方針が定まっていれば、今後作成する事業計画書や指定機関との協議も進めやすくなります。
2、物件を決める
デイサービスを立ち上げる場所は、非常に重要です。どの地域にどの程度の大きさのデイサービスを立ち上げるのか、慎重に選びましょう。
賃貸物件を利用する場合は、家賃に注意しなければいけません。想定されるデイサービスの規模から、予想収益を割り出し、無理のない範囲で家賃を支払えるかシミュレーションしましょう。一般的なオフィスの場合、賃料は粗利益の10%〜20%が理想的とされています。ひとつの目安にして、物件を選ぶとよいでしょう。
3、設計建築・内装工事の準備
デイサービスを立ち上げる物件が決まったら、工務店や建築会社と内装工事(もしくは建築)の計画を立てましょう。
最終的に都道府県役場から、調査員がきて施設内の設備を確認します。その段階で不備が見つかれば、再工事を求められる可能性もあります。可能であれば、介護施設を請け負った経験のある会社を選ぶと、その後の手続きがスムーズに進むでしょう。
4、事業計画書を作成する
建築や内装工事の計画が決まれば、デイサービス立ち上げに必要な資金がほぼ確定します。それらの情報をもとに事業計画書を作成しましょう。
ここで作成した事業計画書を、その後の事前協議や関連機関とのやりとりで使用します。特に、資金繰り計画や収支計画などの数値目標を具体的に示さなければいけません。現実的な数字を入れてシミュレーションしておくと、立ち上げ後のデイサービス運営も順調に進みやすくなります。
5、株式会社・NPO法人等の設立
デイサービスとして指定を受けるためには、株式会社やNPO法人などの法人格を持っている必要があります。まだ法人がない場合は、法人を設立しましょう。また、既に法人を持っていて、デイサービスを新たに始める場合、約款の変更が必要になる場合もあります。注意して手続きを進めましょう。
6、指定機関と事前協議
工事着工前に指定機関(都道府県)と事前協議を行いましょう。協議の中で事業計画や工事予定の設計図などを確認してもらいます。場合によっては、施設の間取りや設備について細かく指導される場合もあるでしょう。指摘された内容を修正して、問題なければ着工します。
7、スタッフを募集する
デイサービスの建築や内装工事を実施している間に、新規事業所で働くスタッフを募集します。デイサービスの規模や算定加算に応じたスタッフを募集しなければいけません。募集する手段として、以下の方法を活用しましょう。
- ハローワーク
- 求人情報誌
- 求人サイト
- 新聞などの求人広告
- 知人の紹介
デイサービス立ち上げ当初は準備資金が不足する可能性もあります。人材紹介などのサービスを利用する場合は、多額の費用が必要なため注意しましょう。
8、通所介護事業者の指定申請
デイサービスとなる施設の工事が完了し、スタッフも集まった段階で通所介護事業者の指定申請を提出しましょう。各自治体のホームページなどで提出書類を確認して、職員の勤務表や施設の見取り図など必要な書類を準備します。
提出書類に不備がある場合、内容を修正して再提出しなければいけません。書類の不備が多いと、指定を受けるまでに何ヶ月も時間がかかる場合もあるため注意しましょう。
9、開業前の環境作り
通所介護事業所として指定を受けることができれば、すぐに開業できます。しかし、必ず開業前に利用者を受け入れる準備を進めておきましょう。
例えば、契約書の作成、マニュアルの作成、介護報酬請求ソフトの導入などが挙げられます。特に、介護請求ソフト選びは重要です。
数多くの介護請求ソフトがありますが、使用感、機能面、費用面などを比較して最適なサービスを選ばなければいけません。実際にデイサービスを経営している知人がいる場合、使っている介護報酬請求ソフトの口コミを聞いてから選ぶとよいでしょう。
10、開業
開業前の準備が整った段階で、デイサービスを開業しましょう。デイサービスの開業に合わせて、内覧会や地元の方へ向けた事前説明会などを開催すると、開業後の集客をスムーズに進めやすくなります。特に、地域包括支援センターや居宅介護事業所に所属するケアマネージャーへの挨拶まわりを忘れずに行いましょう。
デイサービス立ち上げの際に注意すべきこと
デイサービスを立ち上げるのは簡単です。手順に従って準備を進めれば、誰でも開業できるでしょう。しかし、立ち上げる前に「なぜデイサービスを開業するのか?」について深く考えることをおすすめします。
デイサービスを立ち上げる目的が明確になっていれば、立ち上げ準備も進めやすく、立ち上げた後も運営がスムーズに進みやすいでしょう。しかし、目的が明確ではない場合、デイサービスを運営していくのは厳しくなります。
立ち上げ準備を始める前に「デイサービスを立ち上げる目的」についてじっくりと考える時間を持つとよいでしょう。
まとめ
今回は、デイサービスの立ち上げ方10ステップについて具体的に解説してきました。デイサービスの立ち上げには、施設(設備)、スタッフ、資金という3つの要素が必要です。
3つの要素を揃えつつ、手順に従って要件を満たせば誰でもデイサービスを立ち上げられます。デイサービスの立ち上げを順調に進めるコツは、目的を明確にすることです。今後、デイサービスを立ち上げる際には、この記事をお役立てください。