大規模型デイサービスとは?地域密着型デイサービスとの違いについて解説
「大規模型デイサービスってなに?」
「大規模以外の区分ってあるの?」
大規模デイサービスと地域密着型デイサービスの違いが理解できずに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。今回は、大規模型デイサービスの概要について解説します。この記事を読むことで、デイサービスの規模別区分と、大規模型・地域密着型のメリットとデメリットについて理解できます。ぜひ最後までお読みください。
デイサービスの規模別区分とは
デイサービスは規模別に、大規模型Ⅱ、大規模型Ⅰ、通常規模型、地域密着型という4つに分類されています。各規模に分類する計算式は以下のとおりです。
1月あたり延べ利用者数の計算方法 |
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1、前年度の4月から2月までのうち通所介護費を算定している各月の利用者数の合計を月数(通常は11か月)で割って計算する。年度途中で定員変更を行った場合でも、次年度の事業所規模は、この例により算出する。 2、前年度の実績が6月以上の事業者が、年度が変わる際(4月1日)に25%以上定員変更を行う場合は、変更後の利用定員の90%を一日当たりの利用者数とし、1月当たりの平均営業日数を掛けて計算する。 3、前年度の実績が6月未満の事業者(新規開設・再開事業者を含む)については、便宜上知事に届け出た利用定員の90%を一日当たりの利用者数とし、1月当たりの平均営業日数を掛けて計算する。 |
規模別 | 利用者数 |
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大規模型Ⅱ | 1ヶ月あたりの延べ利用者数が900人を超える |
大規模型Ⅰ | 1ヶ月あたりの延べ利用者数が750人を超え900人以内 |
通常規模型 | 1ヶ月あたりの延べ利用者数が750人以内 |
地域密着型 | 利用定員の数が18人以下の通所介護施設 |
地域密着型のみ、延べ利用者数ではなく利用定員で区分されます。「基本的には1ヶ月あたりの延べ利用者数で規模を区別し、利用定員が18人以下になると地域密着型になる」と考えておくとよいでしょう。
大規模型デイサービスと地域密着型デイサービスの違い
大規模型デイサービスと地域密着型デイサービスで利用者数に大きな違いがあります。しかし、利用者数以外にも、管轄、基本報酬、人員配置という3点においても異なっている部分があるため、解説していきます。
管轄
大規模型デイサービスは国が管理しています。都道府県知事から事業所指定を受けて、主な問い合わせ先は都道府県の窓口です。一方で、地域密着型デイサービスは、市区町村が管理しています。市区町村町が指定権限を持っており、問い合わせ先は市区町村窓口です。
基本報酬
大規模型デイサービスと地域密着型デイサービスでは基本報酬の単位数が異なることも覚えておきましょう。大規模型は単位数が低く、地域密着型は単位数が高くなります。大規模型の方が、利用者1人に対する職員数は少なくなるので単位数が減ってしまいますが、事業所の売上に占める利用者1人分の割合は小さくなるでしょう。
人員配置
人員配置基準はほぼ同じですが、看護師の配置に関して異なる部分があります。原則としてデイサービスの看護師は常時1名以上配置する必要がありますが、利用定員10人以下の地域密着型デイサービスの場合は「看護職員または介護職員のいづれか1名配置」となっています。
規模別デイサービスの報酬区分
デイサービスでは、要介護、サービス提供時間、デイサービスの規模によって基本報酬の単位数が異なります。仮に、要介護1の方が7時間以上8時間未満で利用した場合の単位数を比較してみましょう。
規模別 | 基本報酬(要介護1:7時間以上8時間未満) |
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大規模型Ⅱ | 604単位 |
大規模型Ⅰ | 626単位 |
通常規模型 | 655単位 |
地域密着型 | 750単位 |
引用:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
大規模型デイサービスの特徴
大規模型デイサービスを運営するメリットとして、利用者の急な休みに対処しやすい、という点が挙げられます。一方で、多くの利用者に対して介護サービスを提供しなければいけないため、運営上の工夫が必要です。
利用者の急な休みにも対処しやすい
大規模型デイサービスは大勢の利用者さんが利用するデイサービスなので、事業所全体の収益と比較すると、利用者1人あたりの単価が占める割合が低くなる傾向があります。
仮に、利用者さんが急に1人休んだとしても、事業所の収益に与える影響は限定的です。また、スケールメリットを活かせるので、地域密着型デイサービスよりも効率よく収益を出せるでしょう。
大人数を管理する体制の工夫が必要
大規模デイサービスでは、同時に数十人の利用者が動く環境で介護サービスを提供しなければいけません。同時に多数の利用者やスタッフが動く状況では、事故やトラブルのリスクが高くなるでしょう。
大勢の利用者さんが安全に利用できる環境を整えるため、環境や利用スタイルを工夫しなければいけません。また、大勢に利用者さんの満足度を高めるにも工夫が必要です。利用者さんが、デイサービスの過ごし方に不満を持つと辞めてしまう方も多くなるでしょう。
地域密着型デイサービスの特徴
地域密着型デイサービスでは、ケアの体制を管理しやすいというメリットがあります。一方で、利用者1人の影響を大きく受けるデメリットには注意しましょう。地域密着型デイサービスの特徴について解説します。
ケア体制を管理しやすい
地域密着型デイサービスのメリットとして「ケアの体制を管理しやすい」という点が挙げられます。
地域密着型デイサービスの場合、1日に利用する利用者数も少ないため、職員の目が行き届きやすい環境です。利用者さんが困っている場面にすぐに気づいて声をかけられるでしょう。利用者と関わる時間が増えることで、利用者さんの満足度が向上する可能性があります。
利用者1人への依存度が高い
地域密着型デイサービスは利用者の数が少ないので、利用者さんが1人休んだ際には大きく収益に影響を及ぼします。できる限り利用者さんが休まないように声かけをする、体調管理に気がけておく、といった工夫が重要です。
まとめ
今回は大規模デイサービスについて、地域密着型デイサービスと比較しながらまとめました。大規模型デイサービスとは、1ヶ月の平均延べ利用者数が750人以上のデイサービスです。
基本報酬が安いデメリットはありますが、その分スケールメリットを活かして高い収益性を確保できるメリットもあります。デイサービスを開業される場合は、デイサービスの規模にも注意して開業の準備を進めましょう。