理学療法士による公的保険外サービスの開業とは?自費サービスについて解説
開業をする理学療法士の数は増えてきており、その中で重要視されるのが、国も推進している自費サービスと呼ばれる公的保険外サービスの開業です。
今回は理学療法士によって公的保険外サービスを開業するにあたり、重要なことや、そもそも公的保険外サービスとは何なのか解説します。
国にも重要視される公的保険外サービスとは
日本の名目GDP600兆円の実現に向けた成長戦略である「日本再興戦略2016」において、公的保険外サービスの推進が明示されました。
公的保険外サービスは大きく分けて、市区町村と民間で行うものに分けられ、サービスの種類によって費用も異なります。ここでいう公的保険外サービスは、1~2割の国民負担となる介護サービスではなく、全額国民負担のサービスのことです。
また、厚生労働省、農林水産省、そして経済産業省が2016年3月末に発行した「地域包括ケアシステム構築に向けた公的保険外サービスの参考事例集」というものがあります。これによると、公的保険外サービスを国が積極的に推進していることがわかります。
国による公的保険外サービスの推進により、各地方自治体が動き出しました。この動きにより、民間の企業も徐々にサービスの提供を始めることが考えられます。
公的保険外サービスの開業の重要性
高齢化が進む中で自助・自立支援の考え方が介護業界で求められ、公的保険外サービスの開業の需要は高まっています。しかし、全額自己負担なため、国民の目は厳しいものもあるのが事実です。
そのため、介護保険の延長としてではなくさまざまな民間企業と協力して魅力のある公的保険外サービスの開業をしていくことが重要になってきます。
日本交通株式会社の外出付き添い「サポートタクシー」
日本交通株式会社では、利用者さんの買い物や観光などの外出にタクシードライバーが送迎し、付き添うサポートタクシーサービスを実施しています。担当するドライバーは、介護や応急救護のスキルを学んでおり、料金体系は時間制で、ドライバーが主体となっての運営です。そのため、コストが抑えられており、利用者さんが病院の通院や外出などの際に利用しやすいサービスになっています。
株式会社こころみの定期的な電話による「会話型見守りサービス」
株式会社こころみでは、独居の親を心配する子ども世帯に向けた電話のサービスを行っています。担当のコミュニケーターが利用者さんに週2回電話をし、電話の内容をその都度、利用者さんの家族にメールで報告するサービスです。サービスの初回は、必ず利用者さんのお宅に訪問し、直接お話をすることで双方の信頼関係を築いています。
この訪問がきっかけで利用者さんはコミュニケーターと安心して会話することができます。見守る家族は、レポートで利用者さんである親の様子を把握でき、親の安否確認だけでなく、直接連絡をとる際の話題としても使えるでしょう。付加価値の付いた見守りサービスです。
アースサポート株式会社の布団水洗い「寝具衛生加工サービス」
アースサポート株式会社では、布団やマットレス、毛布を水洗い、乾燥、消毒加工を行うサービスを実施しています。自宅で布団を干せない高齢者や、大量の寝具類を洗濯・乾燥するのが困難な施設が対象です。清潔な布団で寝ることにより、皮膚炎やアレルギーの予防にも効果が期待できます。高齢になるにつれ、布団で寝る時間が長くなるため、定期的に布団を清潔に保つことで衛生環境が改善されます。
理学療法士による公的保険外サービスの開業が求められる
介護現場で働いた経験があり、知識やスキルがある理学療法士が、公的保険外サービスの開業をすることで、より高齢者に寄り添ったサービス提供が可能になるでしょう。
公的保険外サービスでは、生活援助や食事の宅配など、介護保険でカバーができない介護サポートの分野がたくさんあるのが現実です。
これから開業を検討している理学療法士が増えている中、公的保険外サービスの需要や将来的な重要性を理解していくことが必要になります。
公的保険外サービスで介護の幅が広がる
公的保険外サービスは、これまでの介護保険サービスでは満たされなかった部分を補うものでもあります。助けてほしい部分は人によって様々です。
公的保険外サービスによって、外出の送迎や付き添い、食事の宅配、そして布団の水洗いや乾燥など、様々なサービスを受けられます。
高齢者は、高齢化してできなくなってしまった生活の一部を諦めるのではなく、外部のサポートに頼ることで、自分らしい生活が送れる人がたくさんいるでしょう。
これから開業を考えている理学療法士は、高齢者のニーズに耳を傾け、公的保険外サービスも視野に入れた開業を進めて行くことをおすすめします。