デイサービスを立ち上げるには何が必要なのか?

日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)

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「デイサービス立ち上げに向けて何を準備すれば良いのかわからない」
「デイサービス立ち上げを成功させるコツを知りたい」

デイサービス立ち上げについて、悩みを抱えている方も多いでしょう。デイサービスの立ち上げ準備には、設備基準と人員基準を満たす必要があります。今回は、デイサービス立ち上げに必要な情報と、立ち上げ後の戦略について解説します。

目次

デイサービス立ち上げのステップ

デイサービスを立ち上げるには、都道府県や市区町村から指定を受ける必要があります。デイサービスとして指定を受けるために必要なステップは以下の通りです。

  1. 法人の設立
  2. 開業場所を決定
  3. 建物、設備の準備
  4. 人員確保
  5. 通所介護事業者の指定申請

デイサービスを開業できるのは法人のみです。まだ法人を立ち上げていない方は、まず法人の立ち上げから始めましょう。すでに法人がある方は場所を探すステップから始めます。

開業場所が決まったら、建物や設備の準備と人材募集を始めます。介護人材の確保に苦労するデイサービスも多いので、先に人材募集をスタートしてもよいでしょう。

通所介護事業者の指定申請には建物の図面と勤務表が必要なので、建物と人員が確保できなければ指定申請を出せません。早めに開業したい場合は、建物の準備と人材確保をスピーディに進める必要があります。

デイサービスを立ち上げるための基準

デイサービスを立ち上げるには、さまざまな指定基準を満たす必要があります。設備基準と人員基準が特に重要なので、確認しておきましょう。

定員18名までの事業所は、地域密着型通所介護事業所に分類されるため市区町村から指定を受けます。一方、定員19名以上のデイサービスは通常規模、大規模通所介護として都道府県から指定を受けます。デイサービスの規模によって届出先が異なることも覚えておきましょう。

デイサービス立ち上げの際に必要な届出書類は、県庁や市区町村役場だけではありません。建築確認、消防法上の届出書類も忘れずに提出しましょう。また、送迎車が複数ある事業所は安全運転管理者を配置する義務があるため、警察署に書類を提出する必要もあります。

デイサービスを立ち上げるための人員基準

デイサービスの利用定員に応じた人員を配置する必要があります。必要な人員は、管理者、生活相談員、介護職員、看護師、機能訓練指導員です。

デイサービスの人員基準は以下の通りです。

必要な人員配置基準
管理者兼業可、1施設1人配置
生活相談員サービス提供時間中は専従1名以上
介護職員利用者15名以下は1名以上。16名以上なら「(利用者数-15)÷5+1」名以上配置
看護師基本は専従1名以上。ただし、常に連携できる状態なら兼務でもよい。
機能訓練指導員個別機能訓練加算算定の有無に関わらず1名以上配置。

参考)第141回 介護給付費分科会「通所介護および療養通所介護(参考資料)」

デイサービス立ち上げに必要な設備

提供するサービスの内容によって、必要な設備が異なります。介護給付費分科会の資料によると、デイサービスで満たすべき設備基準は以下の通りです。

設備基準
食堂、機能訓練を行う場所必要な面積を有するもの。合計した面積が利用定員×3㎡以上
相談室相談の内容が漏えいしないように工夫されている空間

上記以外にも、事務室、静養室、浴室といった設備を設置することが望ましいでしょう。実際に設備基準の審査に訪れるのは、都道府県や市区町村の職員です。各自治体のホームページに記載してある設備基準も確認しておきましょう。

参考)第141回 介護給付費分科会「通所介護および療養通所介護(参考資料)」

デイサービス立ち上げに必要な経費

デイサービス立ち上げに必要な経費は事業所の規模や建物で大きく異なるため、費用の相場は明確になっていません。今回は賃貸物件でデイサービスを立ち上げる場合を想定して、各費用の相場を紹介します。ひとつの目安として、参考にしてください。

  • 【物件の初期費用】100万円〜300万円
  • 【内装工事費用】200万円以上
  • 【人材確保】50万円〜100万円
  • 【備品購入】50万円〜100万円
  • 【車両費】200万円〜400万円

特に工事費用は事業所ごとに大きく異なります。壁紙を変える、手すりをつける、などの軽い改修であれば安く抑えることができるでしょう。しかし、壁を取り払う、浴室を増築する、といった大幅な改修が必要な場合は費用が大きくなります。工事費用だけでなく備品や車両費なども含めて、最低でも1,000万円以上の費用は必要と考えておくとよいでしょう。

デイサービス立ち上げのマーケティング戦略

デイサービス立ち上げ後の運営を考えて、立ち上げ段階から戦略を立てていく必要があります。戦略を考える上で、デイサービスの特性が大切です。

有料老人ホームや訪問介護事業所など、数ある介護施設の中で1番多い施設がデイサービスです。独自の強みを持ったデイサービスだと、利用者さんが増えやすいでしょう。ただし、あまり個性的すぎると、利用者さんから理解を得られない可能性もあるので要注意です。

デイサービス立ち上げ後の広報について

デイサービスは要介護認定を受けた方が利用するサービスです。主に利用者さんとケアマネージャーさんの2方向へ広報活動を行っていく必要があります。利用者さんがデイサービスへ求めることと、ケアマネージャーさんがデイサービスへ求めることは異なります。別々に戦略を立てて広報活動を行うとよいでしょう。

利用者さんへの広報は、デイサービスを利用した時のメリットや、専門性をアピールしていくことをおすすめします。デイサービス立ち上げ前に、近隣住民へ向けたセミナーや健康教室を開催すると地元の方と信頼関係を築きやすくなります。

ケアマネージャーさんへの広報は、デイサービスの強みをアピールしていきましょう。多事業所にはない特性をアピールできると、デイサービスの特性にマッチした利用者さんを優先的に紹介してもらえる可能性があります。

デイサービスの将来展望

デイサービスの役割は、ここ数年間で変化しています。最近では、地域包括ケアシステム構築において、自立支援に向けた取り組みや他施設との連携などがデイサービスに求められています。

ただ利用者さんを預かる施設ではなく、地域の高齢者が可能な限り在宅で暮らせるためにどんなサービスを提供できるかが問われるでしょう。将来の展望を見据えて戦略を考えると、長く運営していけるデイサービスになります。

なんのためにデイサービスを立ち上げるのか

デイサービスを立ち上げたら終わりではありません、立ち上げてからが始まりです。立ち上げ段階から、今後どう運営していくのか計算しておきましょう。行き当たりばったりの準備では、立ち上げたデイサービスが運営できなくなる可能性もあります。地域住民や行政から何を求められているのか、常に考えて利用者さんの満足度が高い施設を作りましょう。

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この記事を書いた人

野田晃司のアバター 野田晃司 作業療法士/ライター

2010年に作業療法士資格を取得し、2年間の病院勤務後、通所介護施設を運営する企業に入社。2つのデイサービス立ち上げを経験後、施設管理者として8年勤務。その間、高齢者デイサービス、放課後等デイサービスなどを展開し、約50名の従業員が勤務する会社の役員としてマネジメントにも関わる。
現在は、フリーのWebライターとして活動中。長年の経験と知識を活かし、多数のメディアで記事を執筆する。

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