デイサービスで人材育成すべき理由と方法について徹底解説
「デイサービスでの人材育成ってどうやるの?」
「デイサービスで人材育成って必要?」
人材育成について悩んでいるデイサービス経営者も多いのではないでしょうか。安全に運営するためにも、デイサービスでの人材育成は重要な課題です。
今回は、デイサービスで人材育成すべき理由と具体的な方法について解説します。この記事を読むことで、デイサービスで取り組むべき人材育成の方法が理解できるでしょう。ぜひ最後までお読みください。
デイサービスにおける人材の現状
デイサービスも含む介護業界全体で深刻な介護人材不足が発生しています。
公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査」によると、介護人材が不足していると回答した施設が63%という結果でした。
また、同調査における回答者の主とする介護保険サービス事業が「デイサービス」と答えた法人が13.9%で第2位というデータも出されています。
以上のデータから「約6割の介護サービス事業所は人材不足を感じており、その中でもデイサービスの占める割合は比較的大きい」といえるでしょう。
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査」
デイサービスの人材が不足する原因
デイサービスの人材が不足する要因として、早期離職する職員が多い、デイサービスの数が多い、求人倍率が高い、という問題が挙げられます。各要因に関して解説していきます。
早期に離職する
公益財団法人 介護労働安定センター「令和2年度 介護労働実態調査」によると、離職した介護職員の64.2%が3年以内に離職していることがわかります。
この調査結果から、デイサービスで働き始めたとしても3年以内に離職する可能性が高いといえるでしょう。早期に離職する職員が多ければ、デイサービスの人材が不足しやすくなります。
参考:公益財団法人 介護労働安定センター「令和2年度 介護労働実態調査」
デイサービスの数が多い
全国的にデイサービスが多いこともデイサービス職員が不足しやすい原因のひとつです。
厚生労働省の「令和2年度 介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、全国の通所介護数は24,087施設で、訪問介護についで2番目に多い介護施設です。
デイサービスの数が多ければ、デイサービスで働きたい職員を取り合うことになりかねません。競合のデイサービスよりも良い人材を確保するためにも人材育成が必要です。
参考:厚生労働省「令和2年度 介護サービス施設・事業所調査の概況」
求人倍率が高い
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)」によると、介護サービスの有効求人倍率は4.01倍でした。つまり、1人の介護職員を4つの施設で取り合っている状況です。
多くの介護施設で介護職員を取り合っていることも、デイサービスの人材が不足する要因のひとつです。
参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)」
デイサービスで人材育成が重要な理由
デイサービスにおいて人材育成に力を入れるべき理由として、離職率の低下、利用者の満足度向上、トラブル防止ということが挙げられます。各内容について解説します。
離職率の低下
前述したように、多くのデイサービスで人材が不足しています。職員の離職を防ぐためにも人材育成が重要な役割を果たすでしょう。
人材育成に力を入れている事業所の職員は、スキルアップを通して自分の成長を感じます。成長を感じられることで、仕事に対するモチベーションが向上し、職員は長く勤務してくれるでしょう。
利用者の満足度が向上する
人材育成に力を入れている事業所で働く職員は、多くの知識とスキルを持ちます。信頼できる職員が多い環境に対して、利用者の満足度が向上する可能性は高いでしょう。
利用者の満足度が向上すれば、利用者の増加に繋がり、事業所の経営状況を改善することも可能です。
トラブル防止
優秀な人材が豊富な事業所では、リスク管理も徹底しています。人材育成に力を入れることで、事業所で発生する事故やトラブルを防ぐ効果も期待できるでしょう。安全にデイサービスを運営するためにも人材育成が重要です。
デイサービスの人材育成法おすすめ4選
デイサービスで人材育成する方法は数多くあります。その中でも、取り入れやすく効果的な人材育成法を4つご紹介します。デイサービスを運営する際にお役立てください。
1on1ミーティング
職員のモチベーションを高めつつ、実践的なスキルを身につけるためには、1on1ミーティングがおすすめです。
1on1ミーティングを導入している施設では、上司と部下が定期的に1対1で話をする機会を持ちます。1on1ミーティングでは、仕事の話題に限らずプライベートの話をしても構いません。
1on1ミーティングを成功させるコツは、上司は徹底して「話の聞き役」に回ることです。ミーティングを通して、部下の悩みに上司が答えます。
部下が困っていることに対して、知識・経験の豊富な上司が指導することで、より実践的な知識とスキルを身につけることを目的としています。
一方で、上司の意見ばかり発信する場になってしまうと、悪影響を及ぼすデメリットもあります。導入する際は、面談に入る職員がミーティングを実施する目的を理解している状態で実行しましょう。
OJT
OJTとは、「On-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」の略称です。簡単に説明すると、現場での仕事を通して人材育成する方法のことを指します。
ビジネスにおける学びは、7割を仕事から、2割を先輩からの助言から、1割をトレーニングから学ぶと言われています。OJTは、学びの機会が多い「仕事」に時間を割いて育成していく方法ともいえるでしょう。
しかし、新入職員にどこまでの仕事を割り振るのか、という問題もあります。いきなり負担の大きい仕事を振ってしまうと、モチベーションが下がり、離職に繋がる可能性もあるので注意しましょう。
社内研修
人材育成と聞いて、社内研修を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。社内研修は、すぐに取り組みやすく、わかりやすい人材育成法です。
何から人材育成を始めればよいのかわからない方は、まず社内研修から取り組むとよいでしょう。
一方で、企画・運営する職員の負担が大きくなる、といったデメリットもあります。社内研修を企画する際は「誰に向けた研修なのか、特定の職員に負担が集中していないか」といった点に注意する必要があるでしょう。
資格取得サポート
職員の資格取得を支援する制度を導入しても良いでしょう。
「スキルアップしたいけど、研修に必要な費用が出せない」という職員もいます。デイサービスで資格取得費用をサポートすることで、職員が外部で学びやすくなるでしょう。
ただし、デイサービスから支出できる費用を管理する必要があります。また、制度を導入したとしても、どう活用するかは職員次第です。
学ぶ意欲がなければ誰も利用しないため、職員の学ぶ意欲を向上させる対策も同時に実施するとよいでしょう。
まとめ
今回は、デイサービスの人材不足に関する問題点をまとめつつ、人材育成の重要性について解説しました。
現在、デイサービスでは人材が不足する傾向があり、人材を確保するためにも人材育成制度を充実させる方法は有効です。
デイサービスでも取り組みやすい人材育成法として、1on1ミーティング、OJT、社内研修、資格取得サポートについて解説しました。事業所の環境を確認しつつ、最適な方法で人材育成に取り組むとよいでしょう。