スタッフがデイサービスを辞める理由とは?原因を対策について解説

日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)

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「デイサービススタッフが辞めて困っている」
「デイサービスの離職対策を教えてほしい」

このような悩みを持っている経営者も多いのではないでしょうか。深刻な人材不足を抱えている介護業界では、効果的な離職対策を実施しなければいけません。この記事では、スタッフがデイサービスを辞める理由と対策について解説します。この記事を読むことで、デイサービスで実践できる具体的な離職対策がわかります。

目次

デイサービスは人員不足

デイサービスに限らず、介護業界全体で深刻な人材不足が問題となっています。厚生労働省が実施した「令和3年度 介護労働実態調査」によると、「約6割の施設で人員不足を感じている」というデータが出されています。

また、介護職員の離職率は14.3%なので、1年間で10人中約1.5が離職したことになります。介護施設全体のなかでもデイサービスが占める割合が多いことから、デイサービスでも人員不足が深刻化していると考えてよいでしょう。

参考)厚生労働省「令和3年度 介護労働実態調査」

デイサービススタッフが辞める理由

デイサービススタッフが辞める理由として、人間関係、給料、仕事内容という3つの原因が考えられます。各理由について解説します。

人間関係のトラブル

厚生労働省が実施した「令和3年度 介護労働実態調査」によると、介護職員が離職する理由として、人間関係の問題、ライフステージの変化、将来性への不安という回答が多かったようです。

介護職員の離職理由
・職場の人間関係に問題があったため……18.8%
・結婚・出産・妊娠・育児のため……16.9%
・自分の将来の見込みが立たなかったため……15.4%

参考)厚生労働省「令和3年度 介護労働実態調査」

デイサービスは職員や利用者さんなど、複数の方が利用する施設です。接する人の数が多ければ多いほど、人間関係のトラブルに巻き込まれる可能性が高くなります。

また、デイサービスの業務は他の職員と連携しなければ遂行できません。仮に、他スタッフと関係性が悪化した場合には、精神的なストレスも大きくなり、離職につながる可能性は高いでしょう。

給料が低い

厚生労働省が実施した「令和3年度 介護労働実態調査」では、介護職員が離職した理由として「自分の将来の見込みが立たなかったため」と回答した方が15.4%でした。特に男性の介護職員の回答が多かったようです。

デイサービスは、夜勤ができる介護施設と比較すると、給料が安くなってしまう傾向があります。給料が低く、今後も昇給の見込みがないと判断された場合、介護スタッフが離職する可能性は高くなるでしょう。

仕事内容に不満がある

デイサービスの仕事内容を理由に離職するスタッフもいます。デイサービスは他の施設と比較して、介護業務以外の業務が多くなる傾向があります。例えば、利用者の送迎業務やレクリエーションの準備などです。

小規模なデイサービスなどでは、介護スタッフが車を運転して利用者さんの送迎を行う事業所も少なくありません。利用者の生活状況を把握できる点ではメリットもあるのですが、運転が苦手な職員は送迎業務が負担に感じることもあるでしょう。

また、多くのデイサービスでは、レクリエーションを頻繁に実施しています。レクリエーションに対して苦手意識を持っているスタッフにとっては、レクリエーションに関する業務が負担に感じることもあるでしょう。

デイサービスが取るべき離職対策

デイサービスの様子

介護スタッフが辞めてしまうと、デイサービスの運営ができません。デイサービス経営者としては、介護スタッフが辞めないように離職対策を実施する必要があります。

デイサービスで取り組むべき離職対策として、ミーティングの開催、介護スタッフの処遇改善、ICTの活用などが挙げられます。各離職対策について解説します。

定期的にミーティング

定期的にミーティングを開催することで、スタッフの離職を防ぐ効果が期待できるでしょう。ミーティングを通して職員の声を聞き取り、改善策を話しあえます。ミーティングの目的はスタッフの評価をすることではありません。スタッフの意見を聞いて、改善策を一緒に考える場です。

ミーティングを定期的に開催することで、深刻な問題が発生する前に対策を立てられる、職員が主体的に動けるようになる、といったメリットがあります。可能な限り定期的にミーティングを開催して、職員の意見を聞くとよいでしょう。

処遇の改善

介護スタッフの給与や福利厚生など、処遇を見直すこともおすすめします。給与の金額に関しては、周辺施設の給与も調査して、相場よりも低くなりすぎないように注意しなければいけません。デイサービスの業績とも調整して、無理のない範囲で処遇を見直していきましょう。

事業所の業績が悪い状態であれば、給与を引き上げることはできません。その場合、処遇改善加算の算定を検討してもよいでしょう。算定要件に合わせて事業所内での取り組みを改善することで、処遇改善加算を算定できます。処遇改善加算で受け取ったお金は、全て介護職員の処遇を改善するために利用できるので、介護職員の処遇改善に困った際には検討しましょう。

ICTの活用

デイサービスでの仕事は、介護スタッフへの身体的な負担が大きくなります。ICT技術を活用して負担を軽減できるのであれば、積極的に導入してもよいでしょう。ICTを導入する場合、多額の費用が発生する場合もあります。その際には、ICT導入補助金等を活用することをおすすめします。

デイサービスの現場業務による負担も大きいですが、特に問題視されているのは記録業務です。介護現場で起きた出来事や計画書などの記録を作成する手間が多いので、現場の介護スタッフの負担になっているケースも多く発生しています。ICTを活用することで、記録業務の簡略化にもつながります。利用できる事業所では積極的に活用しましょう。

まとめ

今回は、スタッフがデイサービスを辞める理由と対策について解説しました。現在、介護業界では、介護人材不足が深刻な問題となっています。

介護職員が施設を辞める理由として、人間関係、給料、仕事内容という3つの原因が考えられます。デイサービスでは、離職対策を実施しなければ、スタッフの離職を止めることができません。

デイサービスでできる離職対策として、ミーティングの開催、処遇の改善、ICTの活用という3つを提案しました。各事業所ごとに事情が異なりますが、できる範囲で離職対策を実施するとよいでしょう。

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この記事を書いた人

野田晃司のアバター 野田晃司 作業療法士/ライター

2010年に作業療法士資格を取得し、2年間の病院勤務後、通所介護施設を運営する企業に入社。2つのデイサービス立ち上げを経験後、施設管理者として8年勤務。その間、高齢者デイサービス、放課後等デイサービスなどを展開し、約50名の従業員が勤務する会社の役員としてマネジメントにも関わる。
現在は、フリーのWebライターとして活動中。長年の経験と知識を活かし、多数のメディアで記事を執筆する。

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