大規模型デイサービスのメリットとデメリットについて解説!通常規模型との違いは
「大規模型デイサービスと通常規模型デイサービスって何が違うの?」
「規模別デイサービスの特徴を教えてほしい」
このようなことを考えたことがある経営者も多いのではないでしょうか。今回は、大規模型デイサービスと通常規模型デイサービスの特徴について解説します。この記事を読むことで、規模別デイサービスの特徴を理解できるでしょう。ぜひ、最後までお読みください。
デイサービスとは
デイサービスとは、通所介護事業所のことです。厚生労働省「介護サービス情報公表システム」によると、デイサービスについて以下のように紹介されています。
通所介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
利用者が通所介護の施設(利用定員19人以上のデイサービスセンターなど)に通い、施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や、生活機能向上のための機能訓練や口腔機能向上サービスなどを日帰りで提供します。生活機能向上グループ活動などの高齢者同士の交流もあり、施設は利用者の自宅から施設までの送迎も行います。
引用:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」
デイサービスは自宅で生活する高齢者に対して介護サービスを提供する施設です。ただ、生活動作の介助を行うだけでなく、可能な限り自宅で健康に生活できるよう支援する必要があります。そのためには、機能訓練や利用者同士の交流など、多岐にわたるサービスを提供する必要があるでしょう。
デイサービスの規模別区分について
デイサービスは利用者数によって3つの区分に分けられています。各規模別区分については、以下の表をご覧ください。
1ヶ月あたりの延べ利用者数によって規模が決定します。大規模型の中でもⅠとⅡに分けられており、基本報酬が異なります。
規模別 | 利用者数 |
---|---|
規模別 | |
大規模型Ⅱ | 1ヶ月あたり述べ利用者数が900人を超える |
大規模型Ⅰ | 1ヶ月あたり述べ利用者数が750人を超え900人以内 |
通常規模型 | 1ヶ月あたり述べ利用者数が750人以内 |
デイサービスの規模別基本報酬
デイサービスの基本報酬は、規模、介護度、サービス提供時間によって異なります。仮に、要介護1の方が7時間以上8時間未満で利用した場合の単価で比較した場合は以下の表のとおりです。以下の表から、規模が大きくなるに従って単位数が低く設定されていることがわかります。
規模別 | 基本報酬(要介護1:7時間以上8時間未満) |
---|---|
大規模型Ⅱ | 604単位 |
大規模型Ⅰ | 626単位 |
通常規模型 | 655単位 |
引用:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」
大規模型デイサービスのメリット
大規模型デイサービスを運営することで、スケールメリットを活かせる、リハビリ特化型デイサービスの影響を受けにくい、さまざまなサービスを提供しやすい、といったメリットが得られます。各メリットについて解説します。
スケールメリットを活かせる
大規模型デイサービスではスケールメリットを活かして、効率よく運営できます。スケールメリットとは、デイサービスの規模が大きくなることで、経費を圧縮する、効率よくサービス提供する、といった効果のことです。
例えば、利用者の多いデイサービスでは、トイレットペーパーやおむつなどの消耗品を大量購入することになります。大量購入することで、商品単価を下げて消耗品費を下げることもできるでしょう。
また、利用者が多ければ大きな送迎車に多くの利用者を乗せて運べるので、車両費も節約できます。規模が大きいほど、収益は安定するでしょう。
利用停止の影響を受けにくい
大規模型デイサービスは利用者一人あたりの基本報酬が低く設定されていますが、そのぶん多くの利用者を受け入れられる施設です。多くの利用者を受け入れることで、事業所全体の収益に占める利用者1人あたりの売り上げ比率が低くなる傾向があります。
仮に、利用者の1人が利用停止となった場合、通常規模デイサービスサービスよりも売り上げへの影響は小さくなります。大規模型デイサービスは、利用者1人への依存度が低いので、安定して運営していけるでしょう。
さまざまなサービスを提供しやすい
大規模型デイサービスは、利用者とスタッフの多さが特徴的なデイサービスです。人数が多いので、さまざまなイベントやサービスを提供しやすくなるでしょう。
例えば、同日に利用する利用者さんの中でも、一部のグループは施設内でイベントに参加して、一部の利用者は外出する、といったサービスも提供できます。多種多様なサービスが提供されることで利用者さんの満足度が向上し、利用者の定着率も向上するでしょう。
通常規模型デイサービスのメリット
通常規模型デイサービスでは、利用者と関われる時間が多い、初期投資費用を抑えられる、基本報酬が高い、といったメリットがあります。各メリットについて解説します。
利用者1人ひとりと関わる
通常規模型は、大規模型と比較して1日に利用する利用者さんが少ないため、利用者さんとスタッフが関われる時間を多く確保できます。
1人の利用者さんに対して手厚く対応できるため、安全に運営できる、利用者さんの声を聞き取りやすい、といった点がメリットです。
初期投資費用を抑えられる
デイサービスを提供する施設は、利用者1人あたり3㎡の面積を確保する必要があります。そのため、通常規模型デイサービスに必要な建物面積は小さくなる傾向があります。デイサービスを開業する際の、工事費や建築費を削減できるため、初期投資費用を抑えることも可能です。
基本報酬が高い
デイサービスの基本報酬単価は、規模が大きくなるほど低くなるように設定されています。そのため、通常規模型デイサービスの基本報酬単価は大規模型の単価よりも高いメリットがあります。基本報酬単価が高ければ、少ない利用者でも利益を上げやすくなるので、開業後早い段階で黒字化できる可能性があるでしょう。
大規模型デイサービスのデメリット
大規模型デイサービスでは、基本報酬単価が安い、家賃や工事費が大きくなる、といったデメリットがあります。大規模型デイサービスを開業する方は、メリットだけでなくデメリットも理解しておきましょう。
大規模型デイサービスの基本報酬単価は低く設定されています。そのため、黒字化を達成するまでに多くの利用者を確保しなければいけません。
また、デイサービスの建物面積は、利用定員に応じて設定されるため、大規模型デイサービスでは広い建物で運営する必要があります。大きな建物になればなるほど、工事費用や家賃が高くなるため注意しましょう。
通常規模型デイサービスのデメリット
通常規模型デイサービスには、ライバルが多い、利用停止の影響を受けやすい、といったデメリットがあります。
通常規模型デイサービスは、地域密着型のような小規模でもなく、多くの利用者がいる大規模でもありません。小規模でも大規模でもないため、どちらとも比較される対象となります。
例えば、少人数のデイサービスを利用したい方は、通常規模型と地域密着型を比較して地域密着型に魅力を感じるかもしれません。逆に、いろいろなサービスを提供しているデイサービスを選びたい人は、通常規模型と大規模型を比較して、大規模型を選ぶ可能性もあるでしょう。中途半端な利用定員の施設は比較される対象が多いため、注意しなければいけません。
まとめ
今回は、大規模型デイサービスと通常規模型デイサービスのメリット・デメリットについて解説しました。デイサービスの基本報酬は規模ごとに設定されており、大規模になるにつれて低く設定されています。
大規模型デイサービスは、報酬単価が低い分スケールメリットを活かせる特徴があります。一方で、通常規模型デイサービスは、報酬単価が高い分利用者1人の収益に依存してしまう点に注意しなければいけません。
各デイサービスの特徴を理解して、運営することで安定してデイサービスを経営していけるでしょう。