デイサービスの稼働率を向上させて黒字化する方法について解説

稼働率と損益分岐点

日程 : 2023年11月11日(土)
時間 : 13:30 〜18:20
場所 : ウィンクあいち (愛知県名古屋市)

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「デイサービスの稼働率が向上しなくて困っている」
「デイサービスの経営状況を改善したい」

このような悩みを抱えているデイサービス経営者も多いでしょう。この記事では、デイサービスの稼働率を向上させて黒字化させる方法について解説します。この記事を読むことで、デイサービスの理想的な稼働率や損益分岐点との関係性も理解できます。ぜひ最後までお読みください。

目次

多くのデイサービスが黒字にできない

多くのデイサービスが、黒字経営を継続できずに苦労しているようです。独立行政法人福祉医療機構の2021年度の資料によれば、通所介護施設の約46.5%が赤字であり、前年度に比べて4.6%増加しています。この赤字の背景には、利用率が低いことと人員配置が過大であるという共通の特徴があります。

また、赤字事業所は黒字事業所に比べて9.3%も利用率が低く、利用者10人あたりの従業者数も0.87%増加しています。このような状況が続けば、さらに多くのデイサービスが経営困難に陥る可能性が高く、早急な対策が求められます。

参考)福祉医療機構「2020年度(令和2年度)通所介護の経営状況について」

黒字化できるデイサービスの稼働率

デイサービス事業所の黒字化には、稼働率と損益分岐点の適切な管理が不可欠です。特に、稼働率が80%以上、損益分岐点が50%以下であれば、安定した経営が期待できます。ここでは、稼働率の計算方法から、稼働率と損益分岐点の関連性、さらにはこれらの指標を用いて赤字リスクを回避する具体的な手法について解説します。

稼働率の計算方法

稼働率の計算方法は、デイサービス事業所において非常に重要な指標です。稼働率とは、最大利用定員に対する実際の利用者数の割合を示すもので、この数値が低いと収益が出にくくなります。

具体的な計算方法は、(実際の利用者数 / 最大利用定員)× 100で求められます。例えば、最大利用定員が100人で、実際の利用者が80人の場合、稼働率は(80 / 100)× 100 = 80%となります。

一般的には、稼働率が80%程度が理想的とされています。この数値を適切に管理することで、人員配置や収益計画に役立てることができ、経営の効率化につながります。

稼働率の計算式
1日の利用者数÷1日の利用定員数

稼働率と損益分岐点

稼働率と損益分岐点は、デイサービスの経営において重要な二つの指標です。稼働率は、最大利用定員に対する実際の利用者数の割合で、80%以上が理想的とされています。

一方で、損益分岐点は、売り上げが経費を上回る点であり、50%以下に抑えることが推奨されます。稼働率だけに注目していると、損益分岐点が高くなっているリスクを見逃してしまう可能性があります。

介護報酬の改定なども経営に影響を与えるため、これらの指標を定期的に確認し、総合的な経営状況を把握することが重要です。

特に、デイサービスの収支差率が1.6%と低く、赤字の事業所も多い現状では、稼働率と損益分岐点をしっかり管理し、早期の改善策を立案することで赤字リスクを回避できます。

デイサービスの稼働率を向上させる方法

デイサービスの稼働率向上は、事業所の安定経営に直結します。しかし、稼働率の向上は一筋縄ではいかない複雑な課題です。ここでは、稼働率を高めるために有効な方法について、具体的な戦略と実践的な方法を交えて解説します。

利用者を増やす

デイサービスの稼働率を向上させるためには、利用者数の増加が鍵です。そのためには、まず事業所自体が地域で選ばれる存在になる必要があります。

具体的には、地域やターゲット層に合わせたサービス内容を提供し、事業所の個性を明確にすることが有効です。例えば、機能訓練に特化したサービスや、レクリエーションに力を入れているといった特色をアピールすることで、利用者が自分に合ったサービスを見つけやすくなります。

さらに、ケアマネージャーや地元住民に対して積極的な広報活動を行い、口コミや紹介を通じて新規利用者を増やす戦略も重要です。これらの取り組みにより、稼働率の向上と事業所の安定経営が期待できます。

利用頻度を増やす

デイサービスの稼働率を向上させるためには、単なる利用者数の増加だけでなく、利用頻度の増加も重要です。そのためには、利用者の満足度を高めることが不可欠です。

具体的には、「また行きたい」と思わせるようなサービスを提供することで、リピート率を高める戦略が有効です。例えば、個々の利用者のニーズに応じたプログラムを設計したり、スタッフとのコミュニケーションを強化することで、利用者満足度を高めることができます。

満足度が高まれば、自然と利用者一人当たりの利用回数も増える可能性が高く、これが稼働率の向上に直結します。高い満足度は口コミや紹介にもつながり、新規利用者の獲得にも寄与するでしょう。このように、利用者満足度と利用頻度の向上は、稼働率向上のための効果的な手段となります。

欠席対策をする

デイサービスの稼働率を向上させるためには、欠席対策が不可欠です。利用予定だった利用者が欠席すると、稼働率は自然と下がります。そのため、まずは欠席の理由や傾向をしっかりと把握することが重要です。

例えば、特定の曜日や時間帯に欠席が多い場合、その背景を調査し、利用者が欠席しにくい環境を整えましょう。さらに、利用者が欠席した場合には、振替利用を提案するなどの対策も有効です。

これにより、利用者一人当たりの利用回数が安定し、稼働率の向上が期待できます。欠席対策をしっかりと行うことで、稼働率の安定化とサービスの質の向上が可能となります。

デイサービスの稼働率が下がった際の対策

デイサービスの稼働率が下がった際の対策は、まず原因分析から始めます。利用者数の減少が原因であれば、新規顧客獲得や既存顧客のリピート率向上に注力することが重要です。一方で、利用者の欠席率が高い場合は、欠席しにくい環境を作るための施策が求められます。

利用停止の方が増えている場合は、サービス内容の見直しや利用者満足度の改善が必要です。具体的には、利用者のフィードバックを収集し、サービス改善に活かすことが有効です。

欠席率が高い場合は、振替利用を提案するなど、柔軟な対応が求められます。また、欠席の傾向や理由を把握し、それに対する対策を考えることも重要です。各原因に応じた対策をしっかりと立てることで、稼働率の低下を食い止め、安定した経営を目指しましょう。

まとめ

この記事では、デイサービスの稼働率を向上させて黒字化させる方法について解説しました。

デイサービスの経営状況には、稼働率と損益分岐点が重要な指標となります。理想的な状態は、稼働率が80%以上、損益分岐点を50%以下に抑えている状態です。

稼働率を向上させる方法として、利用者数の増加、利用頻度の向上、欠席対策を実施しましょう。また、今後稼働率が低下した際は、原因分析を行い、対策を速やかに立案することが重要です。

これらの手法を組み合わせて実践することで、デイサービスの安定経営と黒字化が期待できるでしょう。

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この記事を書いた人

野田晃司のアバター 野田晃司 作業療法士/ライター

2010年に作業療法士資格を取得し、2年間の病院勤務後、通所介護施設を運営する企業に入社。2つのデイサービス立ち上げを経験後、施設管理者として8年勤務。その間、高齢者デイサービス、放課後等デイサービスなどを展開し、約50名の従業員が勤務する会社の役員としてマネジメントにも関わる。
現在は、フリーのWebライターとして活動中。長年の経験と知識を活かし、多数のメディアで記事を執筆する。

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